○ 八月十五日 支笏湖一周散歩しようと思ったが・・・ 午前九時 ポロピナイキャンプ場停泊 寝坊してしまった、それも無理ないだろう。目覚ましは六時にセットしてあったようだが意識がなかったようだ。 まず、テントを飛び出して森の後ろに聳える 『恵庭岳』をみる。五合目あたりまで雲の中に隠れてしまっている、天気は昨日と殆ど変わらずのはっきりしない空模様である。湖をはさんで向かい側の『風不死岳』も山容がつかめない程である、登山は中止だ。予定を変更して湖を散歩する事にした、今から出掛けてどこまで行けるか分からないが時間と天気と体力の許すかぎり歩いてみようと思う。 茂みの向こうから 「ライダーー!!千葉のライダーー!!!!」 という怒鳴り声がする。朝食が余ったから食えという、本当に気前のいい人達ばかりだ。まさか二食も御馳走に与かるなんてと、パンか目玉焼きかと行ってみると腰掛けになっていた岩の上には白いプラスチックの皿に無造作にてんこ盛りされたカレーライスと二個の固ゆで卵とコーラの缶が置いてあった。彼らはすでに撤収に取り掛かっていて、焚き火も既に始末されている。ワラワラと後片づけをしている横で思ったよりも辛いカレーを平らげ、お礼として撤収の手伝いをする。浦河の仲良しグループとはここでお別れ、「浦河にきたら遊びに来いや!」と来年の再会の約束を交わし。お先に歩いてキャンプ場を後にする、キャンプ場の雰囲気の良さと場所が目立だない所にあるので相方には留守番して頂く事にした。 曇天で、時折涼しい風が吹き今が夏なのか?と思わせる程の陽気である。その下をザックにトレーナー一枚と念のための雨具を入れ、周遊道路をてくてくと歩く。 ![]() だが、この道路に歩道はなく、時折大型車が通過すると煽られる程の狭い路肩を歩く羽目になった。歩行者の事を全然考えていない造りになっているが、これでも国立公園なのだろうか。こんな怖い思いをするような道だと、皆歩くのを躊躇って車で移動する様になってしまうではないか、こんなんでは環境破壊の歯止めは効かないだろう。歩きたくなる道路をもっと積極的に造るべきである。 後や前から猛スピードで走ってくる車を気にしながら歩いたせいか、七%先の国民休暇村でスタミナが切れてしまった。時刻も丁度正午となり、ラーメン屋で地獄ラーメンとやらを頂く。そして、旅先で迎えた幾度目かの終戦記念日。 合掌 最初は湖一周を企ててはいたが、ここの湖はぐるっと周ると四十キロ・・・・・・(汗 ![]() 帰ることにした。 久々の長距離を歩いたので足も結構張ってきている、無理をして靴ずれでも起こしてこれからの道中に影響を与え兼ねないので、ここは1つ奮発してモーターボートでワープする事にした。 ![]() 切符は買ったものの、出港の時刻に遅れてしまい自分か束るべき船は岸壁を離れてしまった。係員の兄いちゃんが、慌てて停めようとしたところ五十代位のオッサンがすっとんで来て 「いいよ!行かせちゃって!だめだよニイチャン、これは定期使なんだから頭数が合わなかった時は船の出港が遅れちゃうんだよ!」 怒られてしまった。 すこし、のんびりしすぎてしまったようだ。次の船まで待つか、と諦め掛けた時。 「俺の船が余ってるから特別に乗せてってやるよ!」 と、オッチャンかっこよすぎるぜ! 所謂この船は高速艇と呼ばれるやつで、湖の上を飛ぶようにして走るモータボートのZZR版のようなものだ。オッチャンの粋な計らいで貸し切りとなった船で、対岸の丸駒温泉に向かってもらう。ここが船の停泊できる所があり、ここに用のあるお客は降りる事が出来るのだ。全開ですっとんでいる間、オッチャンも機嫌を直してくれたようで色々と話をしてくれた。「おらも此処で二十何年この仕事しとるけんども、こんな寒い夏ははじめてでさぁ」「あそこの丸駒温泉の露天風呂は削から丸見えでさぁ、のぼせた奴等が湯船に腰掛けている姿は、おめぇまるで猿みてぇだ」「恵庭岳なんて、おらは登ってみでぇとは思わねぇなぁ。間くところによんと、頂上近くにいがねぇとなんも眺めさ悪ぐって。」 ![]() 「それよりも樽前なんかいんでないかい?、おめぇみたいな若いニイチャンなら、ぜったいおもしれって」 オッチャン、楽しいお話ありがとう。そして御迷惑おかけして申し訳ありませんでした。 という事で、下船の時に迷惑料を遠慮するオッチャンに無理矢理渡し「それでビールでも呑んで!」といって別れた。まぁ、こんな事も終わりよければ全てよしである。 降りたところにあるこの温泉はポロピナイキャンプ場から単車で二~三分の所にある、今風呂の用意を全くしていなかったのでこのままキャンプ場まで帰り、相方に東って引き返してくればよい、と考えそのまま歩いた。ところが、丸駒温泉からポロピナイまでが以外と距離があり、アップダウンのある山道を三十分程歩かされる羽目になった。この予定外の時間で楽しみにしていた湖畔のの露天風呂の利用時間は終了(旅館が経営している所なので三時過ぎには終わってしまう)とあいなった。 キャンプ場で夕食をとっている時に流れていた天気予報は、久々に北海道は晴天に恵まれるという。ところが気温は平年よりもはるか低く、もう接近している高気圧は秋の大陸からやって来る奴だという。つまり、今年の北海道は梅雨があっていきなり秋になってしまったという、一昨年の東北を思わせる異常気象の中を我々は走ってきた訳だ。だが明日は晴れ、道南での予定をズロ繰り上げて来てここで晴れるまで粘った甲斐があったってもんだ。見上げるといつのまにか夕焼け空になっている、飯合を持ったまま眺めのいい所に出る。麗までスッポリと雲に隠れていた『風不死・恵庭」の両山とも頂上に僅かな山旗雲を残すのみで、ドンドンとその雲も消えてきている。明日はいよいよ「恵庭岳』登山である。自分のテントの裏の森にキツネの住処があるのだろうか、また夕べの二匹がやってきた、「わしらにくれるもんはないのか?」といった顔を直ぐ側まで寄ってきた。 この投稿の関連画像はこちら。その1 この投稿の関連画像はこちら。その2 この投稿の関連画像はこちら。その3 |