自遊人のブログ

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自遊人の言葉と戯れる毎日

『戦時から目覚めよ 未来なき今、何をなすべきか』 スラヴォイ・ジジェク著・富永晶子訳 NHK出版新書

p207を引用します。

 つまり、移民を尊敬する必要も、愛する必要もない。必要なのは、彼らが移民にならずにすむよう状況を変えることなのだ。この考え方は衝撃的に聞こえるかもしれないが、大いに主張する価値がある。移民の割合を減らしたいと願い、そもそも移民の大半が好ましいとも思っていない場所に行かずにすむための対策を講じようとする先進国の住民のほうが、移民に対して寛大であれと呼びかけながら、その裏で移民の祖国を壊滅させるような経済的および政治的活動に従事する人道主義者よりもはるかにましである。現在の文化戦争の問題は、どちらの側も、基本的な状況を変える必要性を無視していることだ。よって、アメリカやヨーロッパの新右派(と、左派の一部)のウクライナ支持への躊躇が明らかにロシアの姿勢を反映していることを知っても、驚くべきではない。彼らは、グローバルな文化戦争の同じ側にいるのだ。

 

右派の主張する「自国文化の尊重」には「他国文化の軽蔑」を伴い、左派の提唱する「他者の文化を尊重し、人種差別的且つ植民地主義的な自身の文化を軽蔑しよう」には自身の文化の優越的な目線が隠されている。

断じて偽善の罠に陥ってはいけない。

全人類にとっての不幸な状況を根絶するための覚悟が、全ての個人に問われている。