それが猫であろうが恋人であろうが、鋭い爪を持っている相手であれば誰でもいいのだが、私の身体の柔らかな肉には、愛するものたちの爪が食い込むのだし、彼らの爪の形状は私の肉の上にしばらくその痕跡を残すのである。


 

 

あるいは、深く食い込むのではなく、爪の切っ先がさっと通り過ぎるような場合もあるだろう。切り裂かれた私の皮膚には線状の傷が浮かび上がり、切り裂かれた肉の奥からじわりと血が滲み出す。ひりひりと痺れる痛みは遅れてやってくる。

 

 


愛猫や恋人が私に爪を立てるとき、私は、彼らが私に爪を立てようとしていることを止めることができない。ただただ彼らの爪が食い込むままにしているのだし、これらの攻撃によって私の愛情が揺らぐということはまずない。

 

 


彼らは何らかの怒りでもって私の皮膚に鋭く爪を立てるのだが、爪を立てるという行為それ自体が目的となっていて、そこには何の怒りも介在していない、という場合もあるかもしれない。

 

 


いくら爪を立てられても抵抗の一つも見せない私を見ると、爪を立てる彼らは少し拍子抜けするようでもあり、そんなことはまるでなくて爪を立てたことにまるで無頓着であるようにも見えるし、どこまで爪を立てれば私の愛情が揺らぐかと興味本位で試しているようでもある。

 

http://adtrks.net/