2020年1月18〜19日に開催されたラブライブ!フェス。μ's、Aqours、Saint Snow、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会、シリーズの枠を超えた夢の共演はラブライブ!を愛し続けてきた全てのラブライバーにとっての念願でもあり自分も我を忘れて興奮した二日間でした。

とりわけμ'sとAqoursの共演はこれまで表向き(おそらくは意図的に)避けられていたと思われファンの中からも「なぜ最初から絡ませなかった」などの声も少なくありませんでした。ではなぜそのようなスタンスを選んだのかを自分なりの視点で大雑把に振り返ってみますが文才も無く知らなくてもいい単語もいくつか出てくるのであまり読む価値は無いですが。

2015年、当時まだμ'sがアニメ2期の大ヒットを受け5thライブの成功を受けラブライブ!というブームが右肩上がりに盛り上がっていく中で突如G'sマガジン誌上に現れた一人の少女とー助けて、ラブライブ!ーという謎のキャッチコピーでファンに様々な憶測を投げかけながら始動したプロジェクトラブライブ!サンシャイン‼︎はキャストが発表されμ'sと同じくファンによる考案、投票によりAqoursという名を冠して走り始めました。当初の自分はG'sでこういうスピンオフ的な企画は珍しいと思いながらもμ's劇場版での穂乃果ちゃんの「スクールアイドルはこれからも続いていくんだ」ということなのだろうと素直に受け止めていました。そしてスペシャル課外活動の配信で始めた動くキャスト見て愉快な人たちだと思いながらも彼女たちの涙と笑顔、伊波さんの決意表明に並々ならぬ本気を感じて応援していこうと決めました。

そうして楽しみが増えた2015年の末にラブライバーに激震が走ります。μ'sファイナルラブライブ決定。自分としては劇場版の結末やキャスト陣の将来を考えてもそろそろゴールなのかなと妙に冷静に納得していたと記憶しています。

そしてあの幸福感と寂しさとが綯交ぜになったようなファイナル公演を終えたラブライバーにはいくつかの選択肢がありました。そこで歩みを止めるかAqoursを追うか。自分は前述のこともあってμ'sを胸に抱きながら後者を選びましたが前者を選んだ人も多くμ'sメンバーのソロ活動を追う道や全く別のアイドルやアニメに可能性を見い出す人もいます。ただその中のごく一部から悲しい声も上がり始めました。「サンシャインなんかラブライブ!じゃない」「Aqoursを始めるためにμ'sが終わらさせられたんだ」「μ'sの知名度があるから売れて当たり前」「μ'sを踏み台にするAqoursを許すな」など遊び場を失った憤りと被害妄想を根拠にAqoursを敵視する「μ's原理」と呼ばれる存在です。ときにAqoursのスクフェス参戦をRTした三森さんや徳井さんにすら裏切り者と噛み付く様を見た際は自分も怒りを覚えました。

しかしそういった声が上がるのは公式運営としても予想の範囲内だったとは思います。そこでAqoursが選んだのは「ラブライブ!の看板を背負いながらもμ'sの名を使わずに成功する」というもっとも困難な道なのではないでしょうか。

TVアニメ1期を経た1stライブでAqoursとしてのスタイルを確立し新しいファンの獲得にも成功しました。2ndライブとなるHPTツアーではアニメ2期への期待も高まるなかスクスタの告知映像があり久々にμ'sの声を聞いた盛り上がりが凄まじかったです。(が、μ's一色になってしまったTLの流れをAqoursがどう見ていたのかは少し心配でした)
そしてアニメ2期の流れを追った3rdライブツアー、特に最終地点となる福岡は海外公演からの直帰であり更に天災による交通手段の断絶という困難に見舞われながらも開催に踏み切った判断と現地に集ったファンには頭が下がります。3rdで印象に残ってるのはアニメのEDテーマである"勇気はどこに?君ね胸に!"で最期の伊波さんのソロパートに生まれた打ち合わせ無しの静寂、Aqoursのファンとはこうなのだということを実感しました。


そして4thライブ。会場はμ'sの最終地点東京ドーム。小林さんはインタビューで「東京ドームに立って初めてAqoursはスタート地点」というようなことを言っていました。きっとそれはやっとμ'sに追いついてここから先こそがAqoursだけの景色ということなのだと思いました。今にして思えばAqoursがライブのたびに繰り返し聞いてきた「まだまだ付いてきてくれますか?ホントにホントに付いてきてくれますか?」はどこまで大きくなっても不安だったのかも知れませんね。

それから年をあけて劇場版サンシャイン‼︎でAqoursの物語に決着を付けそれを受けた5thライブを終える頃には既にμ'sと比べる声も小さくAqoursはもう一つのラブライブ!としての姿を確立しだからこそ虹ヶ咲という後輩も始動することが出来ました。

そしてついに開催されたラブライブ!フェス。会場に集ったのはAqoursのファンだけでも無くかつてμ'sのファイナルで足を止めた人、虹ヶ咲で新たにこの世界を知った人、ともすれば先の原理と呼ばれる人たちもいたかも知れません。そんな中でAqoursは開幕を飾りユニット曲を披露しアニメに物語を語る曲に原点であるナンバリングシングルというこれまで積み上げてきた全てを叩きつけるようなセットリストでした。それはきっとμ'sに憧れたAqoursがμ'sの前で見せる全力の晴れ姿といった気迫を感じました。それは2日間の祭りの最後に伊波さんが発した「μ'sが大好きです!」の一言が全てを語っていました。Aqoursの5年近くに渡って走ってきた努力が報われた瞬間でもあると思います。

こうしてフェスを終えた後にさまざまなスクールアイドルのキャストが交流するTLを見るとAqoursはラブライブ!の中においてまさしく鎹のような存在なのかなて思うのです。