揚水発電所は最大出力は電力会社のサイトに結構掲載されているのですが、蓄電能力についてはあまり触れられていません。揚水発電所の蓄電能力について調べてみました。
1.九州電力の小丸川揚水発電所で計算してみた。
九州電力の小丸川揚水発電所は、小丸川の支流大瀬内谷川の最上流部に上部ダムを築造して上部調整池とし、小丸川中流部に下部ダムを築造して下部調整池とした純揚水発電所で、九州電力最大の揚水発電所である。九州電力のサイトによると、小丸川発電所の諸元は以下の通りである。
表1 小丸川発電所の諸元 *1
発電所所在地 宮崎県児湯郡木城町大字石河内
水系及び河川名 小丸川水系小丸川及び大瀬内谷川
発電方式 ダム水路式(純揚水式)
最大出力 120万kW(30万kW×4台)
最大使用水量 222m3/s
有効落差 646.20m
主要工程
着工 平成11年2月
運開 平成19年7月(4号機)
平成21年1月(3号機)
平成22年7月(1号機)
平成23年7月(2号機)
上記によると、小丸川発電所の最大使用水量は 222 [m3/s] 、最大使用水量を使用している時、最大出力となる。最大使用水量を流し続けられる時間は、有効貯水容量が5,600×10^3 [m3 ]であるため、
最大出力継続時間[hour]=有効貯水容量[m3 ]÷最大使用水量[m3/s]
=5,600×10^3÷222[m3/s ]÷3600[s/h]=7.01[h] (式.1)
となり、約7時間となる。よって、揚水発電所に蓄電できる電力量は、
揚水発電所の蓄電量[Wh]=最大出力×最大出力継続時間
=1,200,000[kW]×7.01[h]=8.4[GWh] (10.2)
となる。揚水発電所は一種の巨大な蓄電池と考えることができますが、入力した電気エネルギーと発生した電気エネルギーの比である総合効率は,発電所の設計にもよるがおおむね70%程度(*2)である。よって、充放電の過程で30%程度が損失となる。
2.他の九州の揚水発電所も計算してみた。
同様に九州電力が所有する揚水発電所を計算すると表2となる。
表2 九州電力の純揚水の蓄電量
発電所名 最大出力 最大使用水量 有効貯水量 蓄電量 参考
大平発電所 500MW 124m3/s 3,960,000m3 4.4GWh URL*3
小丸川発電所 1,200MW 222m3/s 5,600,000m3 8.4GWh URL*1
天山揚水発電所 325MW 140m3/s 3,270,000m3 2.1GWh URL*4
合計 14.9GWh
3.未来の電動自動車社会での車の蓄電池の可能性
日本には2017年3月末時点で自動車は約8000万台もあるそうです。これが全て最新型のLeafになると40kWhx8,000万台=3,200GWhの蓄電池になってしまう。実際、すべての車が充電中というわけにはいかないし、充放電時の損失もあるし、ユーザーは充放電を繰り返すことによる蓄電池の劣化をいやがるだろう。しかし、この電気自動車の充電負荷をちょびっとだけ調整するだけで、何かすごいことになってしまうような気がしてきました。もう少し深堀してみようと思います。
(誤りがあったらご教示いただけると幸甚にございます。)
*1 九州電力ホームページ「小丸川発電所の概要」(http://www.kyuden.co.jp/effort_water_omarugawa_index.html)
*2 電気工学ハンドブックp.1220
*3 九州電力ホームページ「大平揚水式発電所」(http://www.kyuden.co.jp/var/rev0/0061/3236/hydro_ohira.pdf)
*4 九州電力ホームページ「天山揚水式発電所」(http://www.kyuden.co.jp/company_pamphlet_book_plant_hydro_tenzan.html)