約束の一打席 第3話『抽選会』 | 黄昏の黄色い帽子に一番星……☆

約束の一打席 第3話『抽選会』

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第3話 【抽選会】

甲子園へ向けての戦い.....
夏の県予選の抽選会が今日あったらしい。

帰りの電車がいつもの駅に20:24......

前の車両から降りてきた佐伯君に
気持ち、、、いつもより早く駆け寄る。

『皆に見られるから、あまり近づくなよ!』

変なところを意識する

カンカンカンカン・・・・・・

踏み切りの音が途切れたとき、私が聞く
『初戦の相手は?』
『優勝候補筆頭と、当たった』
『えっ!』

・・・・佐伯君の話によると、
初戦は大会№1の山口投手を要する第一商業。
球速140kmのストレートはプロのスカウトも注目しているらしい
春の県大会もほとんど大差で制した、攻撃力も抜群の、ダントツの優勝候補筆頭の高校らしい

『山口とは中学の時も夏の大会で初戦に当たったんだよ』
『負けた?、、、んだったよね』
『延長12回の表にオレがホームラン打ったんだけど、裏に山口にサヨナラ2ラン打たれたよ』
『雪辱戦だね』
『今じゃ、アイツは県を代表するエースで、オレは補欠選手だぜ、、、雪辱戦て感じじゃないよ』


『試合、見に行きたいなぁ』
『お前は全国大会の前の大事な時だろ、そんな暇なんか無いはずだぜ。それに、球場も遠い球場になったし、、、』

・・・・・・そう、、、、
言われると思った・・・・・



そして、いつものトレーニング…
潮風がそよぐ…

私が素振りしている横で
佐伯君も、何かを吹っ切るように、素振りを繰り返している

“ブン!”

聞きなれている空気を切り裂く音......
でも、その音の鋭さは、間違いなく調子の上がってる証拠。

『最近、調子がいいんだ、オレ』
珍しく、佐伯君から口を開く・・・・・
『今のオレなら、山口の140kmが145kmでも打てそうな気がする。いや、絶対打てる!』

“ブン!”

『今日のフリー打撃でも、ガンガン打ってたのに、監督は見てないもんな』
『・・・・・(あせってるのかな?)』

“ブン!”

港の闇の中を切り裂く、バットスイングの音が、凄くて、、、

何とも言えない

表現出来ない想いが、心の中をかけめぐっていく。


このスイングの音が、一生忘れられないモノになろうとは、、、

この時は思わなかった。


・・・・・・・・
その夜、
『ねぇ、お母さん』
『何?』
『佐伯君の試合、見に行きたいなぁ』
『浩二君、補欠なんでしょう?出ないのに、見に行っても。。。』
『出るかも知れないじゃん、、、監督も1打席、チャンスあげるって言ったんだから』
『ほーーー珍しいね、ムキになって』
『んっ、もう!』


夏の大会が始まるも、まだ梅雨の明けないこの時期、

雨天順延等の影響で、
大会日程が目まぐるしく変わる。
そして、佐伯君の試合予定もコロコロと日が変わり、とうとう球場まで、変更になった。

そして、試合当日、、、、
今日の第3試合が、運命の初戦

(練習が早く終われば、見に行けそう……)



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