2012年3月21日
ちょっと気になるニュースがありました。
【低血糖症で意識もうろう、ひき逃げ会社員に無罪】
読売新聞 3月21日(水)22時52分配信
横浜市で2009年にひき逃げ事故を起こしたとして、道交法違反(ひき逃げ)に問われた同市の男性会社員の被告(46)の判決が21日、横浜地裁であった。
久我泰博裁判長は「糖尿病による低血糖症でもうろう状態に陥っており、責任能力は認められない」として無罪(求刑・懲役1年)を言い渡した。
男性は09年9月、横浜市中区の路上で軽乗用車を運転中、自転車で前を走っていた高校2年の男子生徒(当時17歳)をはね、約7キロ先の路上でパトカーに止められた。事故から19日後、男子生徒は死亡。横浜地検は道交法違反(ひき逃げ)で起訴した。
男性は1988年、糖尿病を発症。インスリンを自分で注射するなどし、運転歴は20年以上だった。検察側は、男性は事故直後も安定走行をしており、「現実を認識する能力に問題はなかった」と主張していた。
なんとも言えない事ではありますが、糖尿病になって21年の人が低血糖の症状に気づかなかったのかな・・・と思ったわけです。
よほど急速に血糖値が下がったとしたらこん睡状態の手前くらいまで行っても不思議ではない気はしますが、本当に意識朦朧になるまで気づかなかったのでしょうか。
高校生を跳ねたときは朦朧状態だったそうですが、どうしてすぐに車を止めようとしなかったのでしょうか。止めようとして跳ねたのかもしれませんのではっきりとは言えません。
低血糖というのはほとんどが糖尿病の人が起こす症状で、インスリンや血糖値を下げる薬を飲んでいる場合に起こすと言われています。
突然失神する場合もあるそうですね。
私は勿論低血糖の経験はありますが、失神したことはありません。
失神させるのは簡単でしよう。インスリンを沢山打って何も飲まず食わずでいるとそのうち低血糖で失神するでしょう。けど、下手すれば脳もやられてしまうでしょうね。
低血糖になるときは、風邪の引き始めみたいな感じで背筋がゾクゾクっとして悪寒が走ることが多いです。冷や汗も出る感じがします。常連の患者さんなら大概はわかることがおおいと思いますが。
大概はそこで『あれっ、低血糖かな?』と感じることが多いのです。そういう意味でもこの事故は糖尿病患者の自己管理という意味でも問題になりそうな気がします。
事故当時に低血糖を起こしていたという根拠は何だったのでしょうか。
7キロ先で検挙されたときに、すぐに血糖値を計ったのでしょうか、7キロ先で検挙されたときは低血糖を起こしていないはずです。ちゃんと運転できているのだから。
高校生を跳ねた場所で車を降りて、缶コーヒーを飲んでいたら血糖が回復するので7キロ先まで運転は出来ます。
常にブドウ糖の袋を携帯していたり飴を持っていて、車中ですぐに飲んだならしばらくしてから7キロ先まで運転できたでしょう。
いづれにしてもこん睡状態なら人をはねた近くでしばらく居た可能性があります。
この人は人をはねたのに気が付いていたのではないでしょうか。
もし気が付いていれば、事故の状況から逃避したことにはなります。
被告の男性は、将来ある相手の高校生が死んでしまったことに対してどれほどの罪悪感を抱いているのでしょうか。
少なくともどんな理由であれ人の命を奪ってしまったわけですし、自分と家族の人生と将来が終わったかと思ったはずです。(まともならですが)
私も人身事故の経験はあります。京都の地方裁判所で判決を受けたことがあります。
だからこんな風に思うわけです。
事故をした時、車を止めずに、状況判断が付けられずにズルズルと走ってしまったという感じなのだろうと思います。
少なくともその時に相手の人命を心配して『何とかしよう』とはしなかった。
これは端で見ている人からすれば、当たり前のように思いますが、実際に事故を起こすととても難しい事ではあります。
私も自分の人生について『どうなるのか』と思う心と相手の状態について『どうだろう』という気持ちが交錯していました。相手を『なんとか助けよう』という心は自分を捨て殺すほど相当な覚悟を持たない限り現場で瞬時には考えきれないでしょう。
ただ、その場から逃れるというのは別だと思います。
さらに朦朧としておれば車を止めているんじゃないでしょうか・・・。
『未必の故意』ではあります。
ただ、事故の原因が糖尿病の症状だったということは否定できませんが
事故の原因をとっさに糖尿病のせいにしたとした場合は、同じ患者としてどうかなと引っかかったわけです。