生まれて初めて幻覚を見ました。
ICUに入り、カテーテル検査を終えた翌日くらいの話です。
私の隣のベッドにはおじいさんが入院していました。
おじいさんが治療で苦しみ叫ぶ声や怒号が、
昼夜問わず薄いカーテン越しに聞こえてくるんです
はじめは元気に奥さんと話してたのに
日に日に弱っていく様子も目で見なくてもわかってしまう状況でした。
ある日の起床時間、おじいさんのベッドから
「あら、●●さん(おじいさん)泣いてるの?」
という看護師さんの声が聞こえてきました。
おじいさん、声も出せずに泣いてるんだ。
顔を見た事もないけれど
その一枚の薄いカーテン越しにいるおじいさんの事を色々考えました。
それと同時にどうしても嫌な事も考えてしまいます。
明日は我が身かも知れない
そんな事をもんもんと考えていた夜
ベッドで寝ている私の足元に真っ黒い人影が膝を立てて座っているのを見たんです。
咄嗟に死神だと思いました。
怖くてギュッと目を瞑り、
必死に手でシッシッとやって恐る恐る目を開けてみるとソレはもういませんでした
次の日
「黒い人影を見た。私はもう死ぬのかも知れない!」
そう母に泣いて訴えました。
母が看護師さんに相談すると、
ICUに入った患者はストレスや特殊な環境から、高確率でせん妄を見るそうです。
そしてそれを"ICUシンドローム"と呼ぶ事を教えてくれました。
せん妄を見た2日後、私の精神状況を心配してくれた看護師さんがICU内に一室だけある個室が空いたので移動させてくださいました。