太平洋の奇跡 135連隊木谷敏男曹長のサイパン戦② | 太平洋戦争の傷痕 次世代への橋渡し

太平洋の奇跡 135連隊木谷敏男曹長のサイパン戦②

このように勇敢な兵士であった木谷はジャングルで生活をするようになったのです

ジャングルでは日本の民間人120人ほどと一緒に生活をしていた

ある日、日本の部隊がジャングルを掃討する米兵に追い込まれている場面に遭遇した

その部隊が大場大尉率いる組織されたジャングルの日本軍であった

米兵を待ち伏せしようと計画しているところに、腰に銃を構えて颯爽と山から下りったった木谷だった

大場大尉はその時の姿を見て、なんとも訓練された兵士だと感動したという

即座に木谷は持っていた地図を広げ大場と作戦を立てた

こうして掃討作戦の米兵をやりこめた後は、新しい陣地構築していった

この先は大場大尉のお気に入りの兵士であり、常に大場は木谷に相談していた

このジャングルにおいて重要な兵士の一人であったのです

そんな木谷ですが、女性には弱かった

木谷が心を寄せていたのは青野千恵子でした

話がしたいために、看護婦である青野に下痢の仮病を使ったりして話をする機会を作っていたのです

そんな光景を見ていた大場大尉はなんとか二人を結んでやろうとして

用事で青野を呼んだ時には、常に木谷も呼ぶことにしていた

そのような二人の様子を知っていたのはヤクザ兵士の堀内一等兵も知っていたのです

ある日、堀内が青野の入浴中に前に躍り出て、逃げる青野を抱きしめたことがあった

それも青野の気持ちを確かめることだったのかも知れない

何故、お前は男を作らないのだ!?と聞いているところから堀内の人間性もわかる気がする

ジャングルでの生活は1年も健康のままではおれません

青野は必至で看病したり治療したり専念するが、肝心の医薬品が不足してきます

一人の重症があり、大場は医薬品があればこの男は助かるのか

と青野に聞いた

助かりはしないが、症状は楽になると答えるが大場は医薬品の必要性を感じることになる

そして米軍の病院に医薬品を盗みにいく計画を立てた

盗みに侵入するのは4人

その中に木谷も入っていた

4人は病院目がけて出発するが、密かに青野はついて行ってしまう

ここからは青野千恵子のサイパン戦と同じ内容となってしまいます

よって簡潔にしておきます

病院に侵入したのは4人ですが、青野は外の見張り役

その青野に米兵が近づき遂に青野は米兵目がけて銃を発射しました

青野にとっては念願の両親と妹の仇討ちです

次々とやってくる米兵に対して、青野は片膝をついて撃ちつづけます

袋一杯に医薬品を詰めた4人はジャングルに向かって逃げるが

一人倒れ、またもう一人が米兵の銃弾を受けて倒れた

木谷はジャングルに飛び込んだが青野のことが心配

青野が見えるところまで進み、その姿を確認したが、青野の身体は後ろへ倒れた

叫びともならぬ声でわめきながら木谷は青野のところへ走り這って行き着いた

すでに薄らと笑みを浮かべながら青野の息は無かった

木谷は青野をそっと抱き、泣きじゃくった

米兵がそこまで来てるのもわからず泣いた

米兵の銃剣は木谷の胸に突き刺され木谷もそこに倒れたのです

こうして135連隊木谷敏男のサイパン戦は終わってしまった

あと何日かというところでの死

大場大尉は木谷も一緒に投降できれば良かったと残念だったことでしょう