皆さんこんにちは! つくばオートサービス スタッフYKです!
この「整備のこだわり」シリーズでは、道具の種類や、実際の整備技術、整備業ならではのこだわり等を皆様にご紹介させていただきます。
今回は整備シリーズ 第3回で、ボルトの種類についてお話しさせていただきます。
エンジンや足回り、ボディの構造に至るまでありあらゆる所をつなぎ合わせるボルト。
一般的に我々整備業はボルトの再使用の可否を調べ、再使用に際しての注意点を見ながら必要であれば、メーカーから純正品を取り寄せて使用します。
これは、純正設計上で理想とする長さ・強度・形状が決まっているためです。
何故今回ボルトの種類(ナットにも適用出来ます)をご紹介するかと言いますと、車検や修理で入庫した車両に、エンジンルームや外装を彩るアフターパーツがついている場合があります。
これらをつける際に、強度不足のボルトを用いている場合が多いのです。 また、材質を間違って使用したためにネジ山がくっついてしまって外れなくなっているケースもあります。
そう言った点をよく理解して、ご自身の車をしっかり管理していただければと思い今回の記事を書くことにしました。
前置きが長くなりましたが、それではご紹介させていただきます。
写真1.昔の車に多いのですが、比較的よく見かけるボルトを並べてみました。
--- 4・7マークのボルト ---
ごく最近まで使われていたボルトです。 この表面に刻まれる数字は、ボルトの引っ張り強度で1mm x 1mmの四角い細い棒(1mm2)を作ったときにどれぐらいの力で引っ張れば切れるかを表しています。 4マークは40キロ、7マークは70キロを示します。
写真のボルトはM8(ネジの直径が8mm)なので有効断面積(ネジをすぱっと切ったときの面積)は36.6mm2くらい。 4マークはこれ一本で1464キロ、7マークは2562キロ。 イ○バ風に言うと70キロの人、4マークで20人、7マークで36人ぶら下がっても大丈夫!となります。
この「4」を超える数字を持つボルトを一般的に高強度(高張力)ボルトと呼びます。

--- Eマークのボルト ---
これはエンジンルームなどでボディ側にくっついている場合が多いボルトです。
ボルトの先端が割れていて、そのエッジでボディの塗装膜を削りながら入っていきます。
塗装を削ることによって通電性を良くし、ここにバッテリーのマイナス極が接続されます。
「アース(Earth)を取る」と言う言葉はここに接続すると言う事だと思ってください。 強度は4マークと同等です。
写真2.続いて最近の車で使われ始めたボルトです。
この表記の引っ張り強度はニュートン表記「10N(ニュートン)=1.02Kg(キロ)」になっていますのでややこしいですからおおよそ(10N=1Kg)の数字に置き換えて説明します。
左側のボルトを例にすると「10」は引っ張り強度で1mm2あたり100キロに耐えます。 4・7マークと同じようにM8サイズですので、3660キロまで耐えられます。イナ○風に言えば50人を軽く超えてぶら下がれます。
が、怖いのは「.9」の降伏点と言われる物で、3660キロの9割で3290キロ、これ超えるとボルトが伸びちゃって戻らなくなります。 ですからぶら下がる人は45人程度にした方が無難かと思われます。
写真3.こちらの写真はあまり車に向いていないボルトの種類です。
左から、黒色酸化皮膜・ステンレス・キャップボルトになります。黒色酸化皮膜とステンレスについては後ほど書きますのでここではキャップボルトだけをピックアップします。
--- キャップボルト ---
別称、「内六角ボルト」とも呼ばれます。 他のボルトに比べて頭が小さく、道具が入って行きづらい場所などに使われますが、純正品で使っていることは非常にまれです。
普通のボルトは「スパナ」や「ソケット」と呼ばれるボルトの頭を外から包み込むようにして回す力を加えるのですが、キャップボルトはそれが正反対になります。大きな物で小さな物を回すのでは無く、小さな物で大きな物を回します。
そのため道具に過度の負担が掛かり変形や破損の原因となり、変形してしまった道具で力を加えるとボルト自体も変形~破損してしまう、結果として道具とボルトの双方が壊れてしまう可能性が高いのです。
アフターのパーツでは、格好優先で使われることがありますが、取り扱う場合には細心の注意が必要ですね。
ここまで、ボルトの強度と形状に関する事を説明させていただきました。
これら以外にも多種のボルトがあるのですが、一般で出回る工具では回せない物が存在します。それらは車の製造メーカーにとって手を出してほしくない所に使われていますので、整備業を営む上であえてそれらの紹介は控えさせていただきます。
そして、ここからは材質・メッキの説明です。大まかに色わけで説明させていただきます。
--- 金色のボルト ---
ほとんどはクロメートメッキと呼ばれる物です。
黄色が濃ければ濃いほどに錆(腐食)に対して強くなります。車はありあらゆる過酷な環境の元で使用されますので、簡単にさびてしまっては困るのです。
--- 銀色のボルト(例外あり) ---
車においては、3価ホワイトや、ダクロダイズドと言った腐食に強いメッキになります。
ですが、似たような色合いで世に出回るほとんどがユニクロメッキ(青みがかかった銀)と呼ばれる物です。コストが安くクロメートメッキよりも腐食性で劣りますので、これを車に使用する場合には錆に気をつけてください。
--- 黒色のボルト(写真3の左右) ---
市販のボルト・ナット・ネジでは黒色酸化皮膜と呼ばれる物です。これらは雨・雪・海水などですぐにさび始めますのでお気をつけください。
純正で使われる黒色のボルト類は黒色クロメートまたは、3価ブラックになります。先の黒色酸化皮膜と違って艶があるのが特徴です。内装用のネジやホイールハウスから見える位置で金や銀だと目立ってしまう場所に使われます。目立たなくなった分だけ整備性も悪くなりますので多用はされません。
--- 銀色のボルト(例外) ---
写真3の真ん中の銀のボルトはステンレスです。 ステンレス=錆びないと思って使ってしまう方が結構いらっしゃるようですが、ステンレス自体は錆びなくても、ステンレスの周りの部品に錆を呼んでしまいます。専門的には「電触」と呼ばれます。
この電触は錆を呼ぶだけで無く、圧着と加熱で鉄素材とくっついてしまい、ボルトが取れなく(固着する)なってしまうのです。錆びなくてシルバーが格好いいからと思ってつけてしまうと部品が外れない~ボルトが折れてねじ穴が埋まってしまうなどエラい目に遭うことがありますのでお気をつけください。
大変長々と書いてしまいましたが、これらの事を気にかけて今一度アフターの品をご確認ください。
力の加わるところ、特にボディやメンバーの接合部、足回りなどには高強度のボルトが使われているはずです。 かえて、エンジンルーム内のプラスチックや軽い物は「4」や「4.8」などの比較的強度の低い物で固定されます。
気をつけなければいけないのは、(純正品でもたまにありますが)強度など何も表記の無いボルトや、ステンレスのボルトです。 もしこれらの物が使われているようであれば必要に応じて規格品に取り替えておきましょう。
さて、今回はボルトに関するうんちくだけで終わってしまいましたがいかがでしたでしょうか? 我々つくばオートサービススタッフ一同これからも、より良い技術、より良い情報をお客様に提供し、喜んでいただけるよう努めてまいります。
また、今回の記事に引き続き、こんな道具を紹介してほしいなどのご要望がございましたらお申し付けください。
皆様のコメントお待ちしております!