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髪をさわると嫌がる。
幼い頃も、母親になでられることすら嫌だったと。
私はだいたいベッドの上にいて、帰ってくると真っ先に寝室へとやってくる。
ベッドの横にぺたりと座り込み、頬杖をつく。
「会いたかった。」
そう言って、私は髪をくしゃくしゃにしてやる。
恍惚の表情を浮かべた後、ふんわりと微笑みながら、ベッドに顔を伏せる。
この人が、今、私の好きな男だ。
Kissはしない。
そう簡単にKissはしない。
せがまれてもしない。
求めてくるまでしない。
そんなことをどこで覚えたのか、もう忘れてしまった。
追いかけて追いかけて、やっと手の中に閉じ込めたモンシロチョウを、
そぉっと覗く少年のキラキラとした眼差しで、私も見つめられたい。
( でも、モンシロチョウにはなりたくないな‥ )
彼が帰ってくるまで、そんなことを考えていた。
彼の名は、ファーファ。
私はファーファと呼んでいる。
つづく。
