
新月の展示室|カードとの対話記録
Touchstone tarot
King of Coins(逆)/Ⅵ The Lovers(逆)
この二枚は、
「答え」をくれたというより、
長い時間、こちらを黙って見ていたカードだった。
引いた直後よりも、
そのあと机に置いて、
何度も眺めるうちに、
少しずつ違和感が増えていった。

コインのキング(逆)
王は食卓に座っている。
けれど、その食卓はどこか奇妙だ。
皿は金属製で、豪華さはない。
実務的で、無機質。
祝宴の気配はまったくない。
水瓶は倒れていて、蓋も開いている。
けれど、中身はこぼれていない。
——最初から空だったのかもしれない。
皿の中には二枚貝。
皿の外には巻貝、どんぐり、そして四枚のコイン。
美味しそうには見えない。
王自身が、食べるつもりがないように見える。
この食卓は、
「味わうため」ではなく、
「仕分けるため」に用意されている気がした。
育てる人ではない。
守り、整え、引き継ぐ人。
逆位置であることが、
未熟さではなく、
立場の手前を示しているように思えた。
恋人たち(逆)
次に現れたのは《恋人たち》。
最初は、
誘惑に負けて道を逸れるカードだと思った。
けれど、見続けているうちに、
違和感は別のところに移っていった。
天使が指しているのは、男性ではなく女性。
そして天使は、二人ではなく、
こちら——カードを見ている私を見ている。
この天使はクピドではない。
弓も矢も持たず、
小さな竪琴を手にしている。
囁いていたのは、天使ではなく、
私自身の思考だったのかもしれない。
「いいね、それやろう」
そう即答していたのは、
私の中の男性性だった。
でも、直感はそんなに速いだろうか?
女性が手にしているものは、
りんごには見えない。
小さく、渦を巻いた、
まだ名前のつかない何か。
天使は、
「決める前に、そこに尋ねたか?」
そう問いかけているように見えた。
観察する、というリーディング
この二枚は、
何かを「教えて」くれたわけではない。
ただ、
じっと観察する時間をくれた。
意味を探そうとしなくても、
説明しようとしなくても、
見ているだけで、
疑問が浮かび、
言葉が生まれてくる。
それだけで、
カードは十分に語っているのだと思う。
リーディングは、
当てることでも、理解することでもなく、
一緒に眺める時間なのだと私は思う。
今回掲載されている作品
♥
♥
♥
タロット・アートミュージアムは月曜日更新予定です
お楽しみに
♥
♥
♥
モアレ除去も簡単にできます!!


