というわけで、ラジオを聴くまで題名すら知らなかった「映画大好きポンポさん」、めちゃくちゃおもしろかったです!
ハリウッドを模したニャリウッドという場所で、ポンポさんという大物プロデューサーの少女がいる、という特異なリアリティラインですが、ともかくキャラクターのセリフや演出、そしてもろもろの世界構築がうまくてこの世界観にしょっぱなからスッと入れました。ポンポさんが主役と思いきや、ポンポさんはこの映画の圧倒的強者として外側にいる不変の人物。ポンポさんのもとで働く人々の話でした。ポンポさんという人のリアリティを考えてもこの構成は正解だと思いました。
映画を作っていく過程が丁寧で単純にお仕事映画としてもおもしろかったです。ものづくりの映画ですが、ものづくりをする過程で出てくる、魅力的な奇跡のような瞬間をちゃんと奇跡のように美しい瞬間としてアニメーションで描けてて、ここが凄かった。俺はこの瞬間が撮りたいんだ!という瞬間に確かにこの上ない説得力がある、そんな美しさや尊さがちゃんと映し出されてるのが偉いところだと思いました。
あと、ジャンルは違えど、ものづくりをナリワイとしてる私としてはクライマックスに編集シーンを持ってきたというのになによりグッときました。映画は編集だ、とよく言いますが、これってどんなものづくりにも共通する普遍的なことだと思うんですよね。最終的に作ったものを切って切ってもう一度再構築していく。このひたすら葛藤するクライマックスはほんとにグッときましたし、勇気をもらいました。
終盤の出資云々、銀行云々のところは話としてはわかるけど、映画全体としてはちょっとテーマがボケたかなぁと思わなくもないなぁとか。あとあの出資者会議のシーンはちょっと無理矢理な気がしたかなぁとか思わなくもなかったり。前半の映画作りシーンが異常に魅力的だっただけに、やや停滞したかなぁと思ったりもしました。
しかし、全体に通底する夢の肯定というか、創作の肯定にすごくグッときて、個人的にはかなり元気をもらえた映画になりました。こういう夢と希望に満ちた作品もたまには必要だ!観てよかった!