子育ての注意点⁉(思春期)
今回は、乳幼児期より上の子育て、特に思春期あたりの子育ての注意点について、私自身の経験も交えながら、考えてみたいと思います。私自身は、父親の立場から、次の点を大切にしたいと考えていました。(うまくできたかどうかは、別問題ですが…)①どんなに小さくても、子供を一個の人格として尊重すること。同じ目線で話すこと。どんなにかわいくても、子供はペットではありません。前回申し上げた様に子供にたっぷり愛情を注ぐことは大切ですが、それと単なる猫かわいがりは別です。また、母親によくありがちな、「自分の分身だから、何をしても、言っても良い。」と思い込み、子供のプライバシーなどどこへやら、自分の思い通りにしようとするのも大きな間違いで、子供にとっては大迷惑ですよね。ある名僧の逸話の中に、寺に戻ったら廊下で寝ている小僧さんがいましたが、名僧は、その小僧さんにも宿る仏性に手を合わせながら、またいで通ったというのがあります。子供と話をするとき、ともすれば親は上目線で話したり、子供の話をさえぎって偉そうな価値判断を交えたりしますよね。子供たちは、それらが大嫌い!子供たちの話は、しっかり興味を持って最後まで聞いてあげ、理解しようとすることが大切な様です。親が子供を受け入れ、真剣に興味を持ってその話を聞いて、いらぬ価値判断を交えないなら、子供は安心して心を開き、いろいろな話をしてくれることでしょう。相手の立場を理解し、しっかり評価してあげることも潤滑油になります。(特に、世の父親に、こうした点が苦手な人が多い様ですよね。)私の経験では、成功例より、失敗談の方が、受け入れてもらいやすい気がします。②子供は、転ばないようにするのではなく、将来社会で生きて行ける様にしてやること。最近は、「転ばぬ先の杖」の様に、子供を転ばせないように守ることばかりを考える親が増えている気がします。子供が転ぶ前に、細かく注意したり、危ないことは徹底してやらせなかったり、障害物を親が取り除いていたのでは、いつまで経っても子供は、どうしたら転ぶか、そしてどの様に転ぶかや、転んだ後の起き上がり方も学べなくなっています。少々の危険性なら、子供は転ばせて痛みを覚えさせ、起き上がりに必要な時は手を貸すので良いのではないでしょうか? たくましい子、自分の頭で考える子に育ちますよ。私は、中国駐在中に採用担当も経験しましたが、シックスポケットと呼ばれた一人っ子政策の男子は、非常に打たれ弱く、また理想は高いが現実の実力が伴わないという感じの子が多かったのを覚えています。③子供は、親の言うことは聞かず、その背中を見ている。いくら勉強しろと親が言っても、親がTVを見っぱなしで本も読まないのに、子供にだけ注意したのでは、全く説得力がありませんよね。「人様には迷惑をかけるな!」と言いながら、親が道にゴミをポイポイ捨ててる様では、示しがつきません。そんなところを子供はよーく見ていますよね。(覚えていて、後の反撃もあります。)子供、おそるべし!④「叱る」と「当たる」を分けて伝える。子供が赤信号を無視して平気で渡ろうとした時、即ち、命に係わるしつけが必要な時は、厳しく叱りました。子供がそうそう病気では命を落とさなくなった昨今、死に直結する事故に遭わせない配慮が親には必要であり、それを子供自らの習慣にさせることが、生き残る上で大切なことだと思います。例えば、今でも街でよく見かけますが、自転車に乗り始めた子供が、交差点でブレーキしていない、あるいはいつでもブレーキできる様に手をかけさせることを、目くじら立てて注意している親を、ほとんど見たことがありません。1万回に1回のことかもしれませんが、起きてからでは遅いのです!(こうした点で、親は、しっかり子供に指示を出すべきです。)少々話がそれましたが、一方、親が「当たる」とはどういうことでしょう…例えば会社から疲れて帰って来た父親の近くで、ピーピー笛を吹く子供がいたとします。この時、親が子供に伝えるべきは、「ごめん、今お父さんは疲れてて、その音が気に障るので、頼むから止めてくれないか?」ということです。そう言われると子供は、(止めるかどうかはわかりませんが)少なくとも自分は今、親にとって嫌なことをしているんだなと言うことが分かります。もし、この時に親が、「笛を吹くのを止めなさい!!」と赤信号の時と同じ怒り方をしたら、どんなことが起こるでしょうか?もちろん、子供には善し悪しの内容の判別がつかず、結局親が怒っているかいないか、すなわち親の顔色だけで、事の善し悪しを判断する様になります。実はこの時、劣等感の強い親は、(自分の意見を言った時に子供に拒否されるのが恐いのか)この伝え分けができず、すべて「良い子は、そんなことしないぞ。」とか、「親の言うことを聞きなさい!」という押し付けの言い方になる様です。これによって、その子供達は、判断基準を親の顔色に置く習慣がついてしまいます。(かくいう私自身も、その様に育ってしまい、この習慣から抜けるのに、本当に長い年月を費やしました。)⑤親がしたことを、子供はその子供に伝える。私が特に気を付けたのは、人に何かしてもらったときに「ありがとう」を言うことと、間違えを犯したときには、素直に謝ることでした。ある時、高校生の息子の部屋に入ったら、煙の臭いがしました…私はてっきり、タバコにも興味を持つ年頃だから、少々は仕方ないかと思ってしまい、「タバコ試しても仕方ないけど、常用は健康に悪いからやめとけな…」と息子に言ってしまいました。実は、その煙は、蚊取り線香の煙だったことが後で判明…私にはテレも有って、「あ、誤解だった。悪い、悪い。」位の軽いノリで息子に謝ったのですが、当時反抗期だった息子は容赦しません…疑われた怒りが収まらなかったのでしょう、「それで謝ってる、つもり?」と食って掛かって来ました。父親の変なプライドもあって私はムッとして、それ以上は語気強く抑え込んでしまおうかとも思いましたが、将来今の私の対応を息子も受け継ぐだろうと思い「誤解してすまなかった。君を信じておらず、本当に申し訳なかった。」と、素直に謝りました。息子は、ずいぶん前のこのことを覚えているかわかりませんが、将来父親になった時に、思い出してくれたら嬉しいと思います。さあ、今日はここまでにしましょう。次回は引き続き、アドラー心理学を踏まえた子育ての在り方や、「パパ嫌い」の理由や対策について、お知らせできたらと思います。お楽しみに…【本日のまとめ】子育てにおいては、次の点を大切にしたい。①どんなに小さくても、子供を一個の人格として尊重すること。同じ目線で話すこと。②子供は、転ばないようにするのではなく、将来社会で生きて行ける様にしてやること。③子供は、親の言うことは聞かず、その背中を見ている。④「叱る」と「当たる」を分けて伝える。⑤親がしたことを、子供はその子供に伝える。