急に消えて急に現れた翔さん

俺と一緒に仕事がしたいだと?
勝手すぎるじゃないか?

グルグルと脳内を過ぎる思い
自分だけではこの事を受け止めきれない
どうしたらいいのか………


何処をどうやって帰って来たのか
分からないまま
気付くと自宅に戻っていた


一度脳内をスッキリさせるため
熱いシャワーを浴びる
それから冷蔵庫にあったビールを開け
一気に胃袋に流し込む

翔さんとの日々を思い出す
そう遠くはない昔なのに
昔むかしの事に思えた

会えば体を重ね合い
お互いに依存していたあの頃

思い出せば出す程
胸が鷲掴みにされたみたいに苦しくなる


今の翔さんは何を考えてるのか?
俺と仕事をするのに
何のプラスがあるのか分からない

ただ俺が
ファインダーを覗いて
翔さんを直視出来るのか………


………やっぱり駄目だ
この仕事は断ろう
俺が平常心で仕事なんて出来ない


残りのビールを一気に飲み干して
ため息をつきながら
ビール缶をテーブルに置いた時


ピンボーン


家のインターフォンが鳴った