ある日
アシスタントを頼まれた仕事先に
『有名な俳優がお前を指名してる』
と連絡が入った

一体誰だろう?
最近は
カメラマンのアシスタントとしてしか
仕事をしていなかった俺に
仕事を頼んで来る奴なんて

それが誰なのか聞いてみても
一切知らないとの言葉ばかりで
詳細も分からない

本当に仕事の依頼なのか半信半疑で
手にしていた連絡先に電話してみる

仕事の話は本当で
きちんとした報酬も貰えるらしい

でも一体誰なんだろうか
無名に近い俺なんかを指名してくる奴は

……………まさかね
まさかとは思うけどまさかね

半信半疑で悩んでいる所に
胸ポケットに入れてあったスマホが
けたたましく鳴り響く


恐る恐る手にして

……………もしもし……………

と震える声で答えてみると
俺の耳に懐かしい声が響いて来た


……もしもし
久しぶり……だな  潤


俺の耳元をくすぐるのは
待ちわびたあの人の声だった