もう何回
翔くんと朝を迎えただろう

片想いしていた頃には
全く考えられない事だったから

今の俺は幸せなんだろう



昨夜も翔くんと何度も愛し合って
気付いたら寝てしまってて

心地よい怠さと共に目を覚ましたら
カーテンの隙間から
朝日が差し込んできていた


やばっ
朝ご飯作らなきゃと起き上がると
隣にいるはずの翔くんは居なくって

ん?
左手に何か違和感を感じる

何だろうと思って左手を見ると


何………これ……………


シンプルだけど光り輝く指輪が
左手の薬指にはめられている


誰が?
何て問う必要はない

翔くんしか居ないから

いつ?
俺が寝てる間に?

脳内がプチパニック状態になる


翔くんには言わなかったけど
ジューンブライドに憧れはあった

女々しいなんて言われるかもしれないけど
6月に結婚したら幸せになれるって

同性だから結婚なんて出来ないし
翔くんと一緒にいられるだけで幸せなんだと
そう想っていた


でも待って?
この指輪にどんな意味があるの?

嬉しいのと意味が分からないので
ボロボロと涙が出て来ていた


お前と一生添い遂げる意味の指輪だよ


いつの間にか俺の傍に来ていた翔くんが
そう言った


潤を『6月の花嫁』にしてやりたくて


そうも言った


気に入らない?


心配そうに俺に問い掛ける翔くんに
ブンブンと首を振って答える


潤?
ちゃんと言葉で教えて?

俺と一生一緒にいてくれる?


後から後から流れ落ちて来る涙を
翔くんが拭いてくれながら俺に聞く


し…しょお……くんっ
お…おれで…いい……のっ?


『俺でいいの?』じゃなくて
お前じゃなきゃ駄目なんだよ


またブワッと涙が出て来てしまうよ
そんな事言われたら


こん…な俺…だけどっ
よろしく……お願いしますっ


涙が止まらず泣き続けている俺を
優しく抱き締めながら

やったね

って
翔くんが耳元で答えた


それから翔くんが


俺にも潤が指輪はめて?


って言うから
ドキドキして震える手で
翔くんの左手に指輪をはめた


翔くん
俺は貴方のためなら何でもするからね

幼い頃からの夢が叶った今
貴方のために何だって出来る気がする



愛したのが貴方で良かった