とりあえずさ



カズに痛い所を突かれて
うなだれている俺に



しばらく俺んちで過ごして考えてみて

あんまりこんな状態が続くと
仕事にも影響が出るけど

翔さんにも伝えてあるから



そうカズに告げられた



今日からここが潤くんの部屋ね



と言われて通されたのは
カズの家のゲストルーム


届いていた荷物を簡単に片付けて
深いため息をつく



翔くんの幸せを願って
俺が離れるべきだと思って家を出て来たのに

逆にそれが
翔くんの幸せを壊してるの………?



荷物の中から大事なブランケットと
白い小さな箱を出す

箱の中には大事な大事なモノが入ってる


これを翔くんに貰った時は
物凄く嬉しかった


ペアリングも
出す事の出来ない婚姻届も
パートナーシップ証明書も



でも日が経つにつれて現実的に考えてみた


傍から見たら許されない関係


翔くんの御両親や翔くんの家柄
翔くんの置かれている立場


全て俺のせいで
捨てなければならなくなる可能性


怖くなった




だったら

甘い夢を存分に見させてもらったのだから
もうこれ以上の迷惑を掛けたくないから

だから離れようと思ったまでで


それが翔くんの幸せを壊すだなんて
微塵にも思ってもなかった事だった



止まっていた涙がまたこぼれて来て

静かに箱の蓋をしめた