翔くんと見るはずだった満開の櫻


お互いのスケジュールを何とか空けて
一緒に夜櫻を見るはずだったのに



今年は満開になるのが早過ぎて
散るのも早過ぎて

一緒に見る予定にしていた頃には
既に葉櫻になってしまっていた



翔くんと一緒に見たかったな
満開の櫻


仕方ないだろ
今年は咲くのも散るのも早過ぎたんだよ


分かってるけどさ

櫻の木の下で
しっぽりお酒でも飲みたかったのに


それはまた来年の楽しみにしよ

今年はこれで我慢して?


何するの?



翔くんが何やら準備し始めたのは

我が家のリビングには
少し大きなプロジェクター


リビングのカーテンを閉め
ライトも消し



じゃ  いくよ?



って翔くんが写してくれたのは


プロジェクターの画面いっぱいの
満開の櫻たち






……え

これ  いつ撮ったの?


丁度満開の頃に外ロケしてて
たまたま側にあったんだよ  櫻の木が

潤に見せようと思って撮しておいたんだ


これで今年は我慢な?






そう言って翔くんが持って来たのは
飲もうと思っていたお酒とおつまみ



きれーだね……………


そうだな……………


でも


でも?


お前の方が綺麗だよ


えっ………



って呟いた瞬間

俺と翔くんの唇が重なってた








桜色舞うころ  私はひとり
押さえきれぬ胸に  立ち尽くしてた


どうか木々たちだけは  この想いを守って
「永遠」の中にふたりとどめて
ここに生き続けて


桜色舞うころ  私はひとり
あなたへの想いを  かみしめたまま





※中島美嘉『桜色舞うころ』一部抜粋