相変わらず、北とぴあ国際音楽祭いい舞台です!とにかくレベルがハンパない、歌手も管弦楽もすばらしい。
バロックオペラはダ・カーポアリア続きで、ぷつんぷつんてしがちなのを、寺神戸さんはテンポ良くまとめていました。演出もよかったです。


主役2人よりインパクトあったのはアルミーダの湯川さん。アク強いキャラでありながら憎めないコケティッシュさを、すっごくうまく表現してました。

アルガンテのフルヴィオ・ベッティーニは本当に美声が心地よい。アルミーダとの痴話喧嘩も仄々とした笑いに収めていたし、やっぱこの音楽祭の重鎮です。

アルミナーレのフランチェスカ・ロンバルディ・マッズーリは、可愛らしさがいい!「わたしを泣かせてください」って、アルミナーレの自己主張の歌なんだと、物語で見て理解しました。コンサートとかだと、情感あふれるしか感じないのですが、こうして一節で聞くと全く印象的違います。アルミナーレはけっこう芯の強い女だということを感じました。

リナルドのクリント・ファン・デア・リンデ、やっぱ、カウンターテナーの男声だと武将らしい力強さのアピールが違う。しかもアリアはどれもアジリタだらけ、3時間半の舞台最初から最後まで力強さアピールしたのは素晴らしいです!

ゴッフレードのメゾ布施さん、エウスターツィオのカウンターテナー中嶋さん、日本のバロックのレベル高さをまざまざと見せつけてくれました、ホントすばらしい。
シレーネの澤江さん望月さんもインパクトあった。

もう、大変いい舞台を年末に見れて、大満足大円団です。




指揮・ヴァイオリン  寺神戸亮
演出  佐藤美晴
管弦楽  レ・ボレアード

リナルド  クリント・ファン・デア・リンデ
アルミナーレ  フランチェスカ・ロンバルディ・マッズーリ
アルミーダ  湯川亜也子
アルガンテ  フルヴィオ・ベッティーニ
ゴッフレード  布施奈緒子
エウスターツィオ  中嶋俊晴
魔法使い/使者  ヨナタン・ド・クースター
シレーネ  澤江衣里、望月万里亜
助演  打越麗子、加藤典子、敷地理


2019(令和元)年12月1日  北とぴあさくらホール
オテロのグレゴリー・クンデと、ヤーゴのジェラルド・フィンリーの迫力ヤバすぎ、声にゾクゾクするってひさびさでした。

フィンリーは、オテロに嘘を吹き込んだ後の表情がたまりません!役者としてもすばらしい。

クンデは前聞いたのはもうずっと昔で忘れてしまったが、こんな迫力テノールだったっけ、と思ってしまった。デズデモナ愛するゆえの嫉妬、そしてトップに立つからこそ不安と怖れを持っていることが、声からもすっごい感じます。

デズデモナのフラチュヒ・バセンツはアルメニア出身。ちょっと前までデズデモナでよく来日していたタマール・イヴェーリはジョージア出身。民族十字路地域で、東洋と西洋が混合した美は、日本人にはエキゾチックでありながら親近感を感じて、献身的なオテロへの愛に一緒にハマっていきます。4幕柳の歌から死の場面は美しかった!


元町中華街へ向かっていた帰り、前を歩く年配夫婦が「今日はわかりやすかった。ファウストはちょっと難しかったね」と話していました。たぶんオテロの方が人物設定がわかりやすいのかもしれません、でもその分、歌と演技がきちんとしてないと、ストーリーなぞるだけになってしまうと思います。パッパーノと歌手たちの渾身の舞台作りに、乾杯!!



指揮  アントニオ・パッパーノ
演出  キース・ウォーナー
再演監督  ユリア・プールバッハ

モンターノ  サイモン・シバンブー 
カッシオ  フレデリック・アンタウン
ヤーゴ  ジェラルド・フィンリー
ロデリーゴ  グレゴリー・ボンファッティ
オテロ  グレゴリー・クンデ
デズデモナ  フラチュヒ・バセンツ
エミーリア  カイ・リューテル
伝令  ダヴィッド・キンバーグ 
ロドヴィーコ  イン・サン・シン

ロイヤル・オペラ合唱団
ロイヤル・オペラハウス管弦楽団

2019(令和1)年9月14日   神奈川県民ホール大ホール


ロイヤル・オペラハウス初日に持ってきただけある、すばらしい舞台だっとしか言えない。ファウストは「黄金の子牛」「清らかな住まい」「宝石の歌」と有名な歌が2幕3幕にありますが、4幕5幕のドラマティコこそ見せ場なんだと実感しました。


グリゴーロとダルカンジェロの声も見た目もセクシーな男性が盛り上げました。グリゴーロもウィリス=ソレンセンも、ハイCやコロラトゥーラはきかせてくれましたが、それよりも4、5幕のまるで、ワグナーの指環みたいなドラマティコにメチャはまりました。
前にゲルギエフ指揮のマリンスキーでファウストは聞いたことあるのですが、有名歌曲聞いて満足だった感ありました。演出はやっぱはるかにこっちがいいです。3幕舞踏会の場が退廃的なキャバレーに演出されたり、4幕バレエの女性プリンシパルがマルグリート映しで妊婦だったり、ここでダルカンジェロが黒スパンコールドレス姿だったり(胸までちゃんとあったのはビックリ)、ラスト大天使ミカエルがフロッグコート姿なのがいかにもイギリスらしい。
前半も聞き入って時間を感じなかったのに、後半なんかドラマティコに聞き入ってますますあっという間でした。

ファウストって実はワグナーに通じることをよく感じて、昼間のビジネスの嫌なことすっかり浄化されました。


1,2,3幕が18:30-20:30、4,5幕が21:00-22:10の2部構成、前半が10遅れて始まったのに10分くらい巻いて終わったのは、場面転換がスムーズだったから?結果巻いて終わったのは、夜遅くは帰りに苦慮する日本の事情を汲んでくれたのかもしれません。







指揮  アントニオ・パッパーノ
演出  ディヴィッド・マクヴィガー
再演監督  ブルーノ・ラヴェッラ


ファウスト  ヴィットリオ・グリゴーロ
メフィストフェレス  イルデブランド・ダルカンジェロ
マルグリート  レイチェル・ウィリス=ソレンセン
ワグナー  ジェルマン・E.アルカンタラ
ヴァランタン  ステファン・デグー
ジーベル  ジュリー・ボーリアン
マルト  キャロル・ウィルソン
女性プリンシパルダンサー  メーガン・グリフィス
男性プリンシパルダンサー  ヤセット・ロルダン


ロイヤル・オペラ合唱団
ロイヤル・オペラハウス管弦楽団

2019(令和1)年9月12日   東京文化会館大ホール