揺れ、舞うもの。麗かな春の陽射しの中、はらはらと落ちる桜の花びら。信号待ちしているウインドウの枠がまるで映画のスクリーンのようで。桜の木はこの機会のために「何者でもない」状態をまた一年間息を潜めて過ごすことになるのだな。儚さを美しいと感じたのは久しぶりかもしれない。信号が青に変わる。後ろ髪をひかれる思いで僕はアクセルを静かに踏んだ。