Look up at the stars in the sky. -5ページ目

Look up at the stars in the sky.

『星空を見上げて』
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特に深い意味はありませんww
日記や小説などを公開していきます(*´ω`*)
是非、読んでってください!ウホッ

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「あっ、あの!助けてくれてありがとう!!」
 テーブルを挟んで芹花の向かい側に座る少女が、頭を下げる。芹花はオレンジジュースをストローで吸うと、一息吐いた。
「いいのいいの!ほら、顔上げて、神楽木さん!」
 目の前に座る少女、神楽木風陽(かぐらぎふよう)は、おずおずと頭を上げた。見覚えがあると思ったが、やはりクラスメイトの一人だった。風陽の隣に座っている煉も、はたと気付く。
「あ、君確か、初日にコイツにナンパされてた・・・」
「あり?そうだったか??」
 話に盛り込まれた当の緋立は、芹花の横で頭にクエスチョンマークを浮かべる。完全に「何の事だか分かりません」といったような感じだ。
 思い出して困った笑みを浮かべる風陽を、なるべく怖がらせないように、芹花はにぱっと笑いながら話す。
「アハハ、あの時はゴメンね!この馬鹿女の子大好きだからさー。でも大変だよね、二日も連続でナンパされるなんて。神楽木さん可愛いもんね~」
「ち、違うのっ」
 風陽は可愛らしく顔の前で両手を振って、否定の言葉を返した。何か違ったのだろうか。
「あのね、ナンパじゃなくて、その・・・カツアゲ?っていうやつだったの・・・」
「「カ、カツアゲ!?」」
 芹花と煉の同時の叫びに、ビクッと体を揺らす風陽。ナンパではなくカツアゲだったが、それもそれでヤバいだろう。芹花は「投げ飛ばしといてよかった・・・」と、どこか危険な安堵を感じた。
「にしても、女子をカツアゲする奴なんているんだな・・・。あいつらの『金持ってそう』の基準ってなんなんだろうな?」
 煉が呆れながら、ウェイトレスから運ばれてきたプリンを受け取る。
「えっと、きっと、通学鞄の刺繍を見たからだと思うよ・・・?」
 風陽が見せた通学鞄には、赤色の刺繍糸で「神楽木」と刺繍されていた。浜高指定の鞄なので、もちろん芹花達のものにも、刺繍は施してある。まじましと刺繍を見つめていた緋立が、何かを思い出したような素振りをする。
「ん?俺、「神楽木」っていつか聞いたことあるような・・・」
「あ、うんっ。私のお家、旅館なの。神楽木旅館で、女将さんの仕事をしてるから・・・」
 緋立が「へぇ~!」と感心する傍で、芹花と煉が「あぁ、なるほど」と同時に思った。でも、確かに雰囲気がそんな感じだ。美人女将というよりは、可愛いに近いが。
(しかも胸が大きいじゃない・・・!)
 ブレザーを着ていてもはっきりと分かるその膨らみを見て、芹花は敗北感いっぱいに肩を落とした。
 神楽木旅館。聞いたことがある、というよりも、幼い頃に行った記憶がある。中段の山の中の神社を抜けて、海の見える場所に建つ大きな旅館だ。同じ中段に住む人がいて、芹花は親近感が湧いた。
「ねぇ、神楽木さん!もしよかったらなんだけど、帰宅部に入部しない?」
「お、おい!待てって!」
 芹花が思い切って誘ったところで、風陽の答えが返ってくる前に煉が制止の声を上げた。
「な、何よ・・・?神楽木さんは言いふらすような子に見えないでしょ?」
 当の風陽は「どうしたの・・・?」というように、不安そうに見つめてくる。
「それは俺も思うけどさ。でも、神楽木だって女将の仕事があるから、無理に誘うのはよくないだろ?」
「あ、そっかぁ・・・」
 中段に住む仲間という嬉しさに飲み込まれて、考えていなかった。
「ねぇ、その・・・帰宅部ってどんな部活なのっ?」
 しかし、風陽は意外と興味ありげに尋ねてきた。口が軽い子には見えないので、話して損はないと思ったので、芹花は口を開いた。
「よぅし!説明しよう!!我らが帰宅部の㊙活動内容を!」
 と思ったが緋立が突然出しゃばり始めたので任せることにした。

「・・・っていうのが活動内容だ!ところで神楽木ちゃん、バストサイズを教えt」
「もういい黙れ」
「ハイ」
 一通り説明し終えたところで、緋立がなんら脈絡のない話を繰り出したので、黙らす。
「ごめんな、こんな適当な説明で。強制はしないけど、できれば入って欲しいな~って、やっぱり駄目だよな?」
 煉が半分説得するように言うが、受験勉強で忙しい友人を無理矢理遊びに誘うようなものなのだから、断られる覚悟はある。
「ううん、私、入部したい!」
「・・・え?」
 しかし、返ってきたのは予想外の言葉だった。
「い、いいの?」
 思わず聞き返す芹花。
「うんっ!」
 返事が返ってくるなり、三人はしばらく顔を見合わせ・・・。
「「「やったああああぁぁぁあぁぁああぁあ!!!」」」
 まさかこんなにすんなりと部員になってくれるとは思わなかったのだ。歓喜のあまり、叫びに近い声を上げ、飛び跳ねたりハイタッチを繰り返したりした。その様子を、風陽はふふっと笑いながら見た。そして、ぽつりと動機を話し始めてくれた。
「私ね、旅館でずっと働いていたから、とても窮屈だったの。中学校にはあんまり行かれなくて・・・。高校もね、「女将さんの専門学校に行きなさい」って言われてて。でも、私が頑張ってお願いして・・・ううん、我が儘言って押し切って、浜高の試験を受けさせてもらった」
 長かった道のりを反芻するように、風陽は湯呑を見つめる。
「それでね、合格した時、お母さんとお父さんが私の気持ちに気付いてくれて、「これからは何事も楽しみなさい」って言ってくれたの。・・・きっと、帰宅部は楽しい場所だと思うよ」
 風陽は三人を見回すと、わくわくしているような、しかし、まっすぐで迷いのない笑顔で言った。
「よろしくおねがいしますっ!」
「ありがとう!かぐ・・・風陽ちゃん!よろしくね!」
「よろしくな!」
「よっしゃあ!女の子入部!!あとは一人だな!」
 あと、一人。そう、あと一人で帰宅部が出来上がる。
(あと三日で一人・・・行ける、行けるかも!)

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