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東京タクシードライバー 2年B組

タクシードライバー2年生で始めたブログですが、11年生になってしまいました。

2019年8月12日(月)は山の日の振り替え休日で、3連休の最終日、

また企業は夏休みと、売り上げは厳しい一日になりそうだった。

 

朝一番 AM6:09 勝どき交差点で乗車は、花束を持った初老の男性。江戸川区春江町まで。私にとっては勝どき→春江町は、そこそこ

の距離であり、売り上げに苦しむ日とわかっていたからありがた

かった。

 

花束を持っていたので、墓参りかな、と思った。だが、いつものように

私から特に話しかけることはせず、経路と車内の温度の確認と、

シートベルトの「ご協力」をお願いして、普通に出発した。

 

男性も特に話をすることもなく、ほどなく到着。やはり目的地はお寺

だった。

 

「運転手さん、忙しい?」と聞かれ、「暇ですよ」と答えると、

「じゃ、乗ったところに戻りたいから、ちょっと待っててくれる?

10分もかからないからさ」と、言われる。暇そうな日の往復乗車は

ありがたいと、喜んでお受けすると、「じゃ、心配するといけないから

5000円置いてくね」とトレーに5千円札を置いて、男性は降車した。

 

言った通り、10分程して戻ってくる。

 

この暑いのにお墓参りは大変だ、と思い「大変ですね」と、

つい言ってしまう。

 

帰り路で男性は話しはじめた。

 

 知人の墓なんだよ。昨年、亡くなって、月命日には来てるんだ。

 いつまで続くかわかんないけど、今のところ続いている。いつもは

 船堀の駅から歩くんだけど、遠くてね。時間もかかるし、しんどい

 し、きょうはタクシーにしちゃったよ。

 

 俺、数年前に離婚して、独り身になって、やっとこれからって時に

 死んじゃうんだもんな。脳梗塞やって、脳梗塞が直接の原因じゃ

 ないんだけど、脳梗塞は割と軽くて、退院して、麻痺が残ったから、

 リハビリがんばろうねって言ってたのに、インフルエンザになっちゃ

 って、インフルも治ったんだけど、そこから急に弱っていって、

 あれよあれよという間に逝っちゃった。

 

 俺は糖尿病でね、あいつは「アンタの面倒は私が見るよ」なんて

 言ってたのに、お前の方が先じゃんか、ってね。

 

割とあっけらかんとした調子で男性は話した。

 

料金は8650円。降車時刻AM7:05。

 

「おつりは1000円でいいよ」と気前のいい人でした。

 

 

殺伐としたお客が多い中で、貴重な「ほっこり話」を聞かせていだ

だき、いい一日になるかな?、と思ったが、その日終わってみれば

やっぱりダメダメでした。