会場に入るとちょうどフォレストガンプのサウンドトラックが流れていた。素晴らしい映画音楽が気持ちの準備をしてくれる。

日常の雰囲気からちょっと高揚した気持ちになりながらライヴ開演を待っていた。

そういえばIoYouのライヴであまり会場BGMって気にしたことなかったかもしれない。

その映画音楽のようなドラマチックなライヴだった。

IoYou2人が描いたストーリー、ファンそれぞれが感じたストーリーは違うかもしれないけれど1時間半の映画を観たようなライヴだった。

ピアノと歌だけなのに、これほど映画のようなライヴだと感じたことはこれまで一度もなかった。

厚み、深さが増していてこれからのIoYouの作品、ライヴが楽しみになった。 



津田さんの重厚感あるピアノソロからスタート。

影で水晶さんの語りが聞こえてくると繊細なイントロが切ない

「想い出に変わるまで」

「ずっと待っていた」水晶さんのソロ時代の作品が続く。

そして3曲目に初めて2人が生み出した「何もいらない」 

はかなさを感じさせる初期の作品が続いた。

水晶さんの表情、姿が音楽そのもののように全身で作品を伝える。


Over the pain

🎵君のため 生きてる 

おはよう いってきます〜

某テレビ局の朝のドラマ主題歌に採用してほしい、と思ったくらい通学、通勤時に足取りが軽くなる曲だと思っている。


中盤はパーカッションタイム。

津田さんがカホンに座る。

1985年あたりに名古屋でEPIC SONY所属のライヴを観た時にリズムが印象に残ったアーティストがいてTM NETWORKの「PASSENGER」のリズムを叩き始めた。

そのリズムを客席とコール&レスポンスならぬリズム&レスポンス。

前日夜に鳴り物持参して、とSNSで呼びかけがありましたが、さすがに自宅には鍋くらいしかなかった

そして水晶さんがサングラスをかけピアノに座る。津田さんはカホンを奏でる。

時折気持ちよさそうにコーラスを歌いながら津田さんの頭に浮かぶイメージはきっと海外アーティストのバックコーラスなのかもしれない。


ここで一旦水晶さんは袖に入り津田さんが語り始めた。

ソロピアノアルバムの最新曲、「孤独が生む永遠の光」を繊細に時に激しく奏でるその音は映画やミュージカルのようにライヴ会場全体に広がっていった。

Mothers」「さよならの時間」「恋でもなく愛でもなく ただ光を」「あなたの情熱を守りたい」

心を大きく揺さぶる作品が続いてライヴは幕を閉じる。


IoYouの作品は心や生命について考えることが多い。

どの作品も毎日の生活に寄り添ってくれほんの少し心を軽くしてくれたり、ヒントや答えをくれる。

歌詞は津田さんの体験から生まれるようであり同時に水晶さんのようでもある。

年齢差を越えて同じように生きている2人が常に語り合いそれがひとつの作品になっていくのでクレジットこそ作詞作曲は分かれているが作詞作曲IoYouなんだと思っている。


IoYou最新作「恋でもなく愛でもなく ただ光を」、津田さんピアノソロ作品「孤独が生む永遠の光」。

共通する""がお互いどんな光なのかなかなか難しい問いを頂いた。

ただ暗闇でも僅かに光を感じた時、わたしの心はいっきに希望を感じることができる。

絵画でも音楽でも本物のアーティストの作品はその光を持っているから、わたしは光を求めて自分の中にその光を少し頂いて灯し続けて毎日を生きていくのだと思う。


そんなIoYouの芸術家への想いを綴った作品「Dear」がアンコールに演奏される。

ラストは水晶さん10代の頃の作品「あいまいなリズム」

会場も一緒に、と促されますが意外とこのサビが難しい。

全てを出し切った津田さんはフラフラしながら袖へ戻っていった。



作品が増えていく中、それぞれの作品のテーマ、メッセージは違うけれど、悲しみや嘆き、絶望感など普段はうまくやり過ごしたり上手にウソをついて周りに合わせ争いが起きないよう暮らしているわたしたちに本当に大切なことを教えてくれる。

両親や大人たちの呪縛によって、なんで?どうして?と本当の気持ちを押し殺していってしまう幼少期。

そして友人関係にも悩む思春期。

わたしは傷つかないように当たり障りなく浅く生きてきた。

それは感じないことだった。

何年もIoYou2人の生きかたにふれているうちに、自分自身の中に本来のわたしを見つけることができた。

そのわたしを大切に育てながら今は生きていて、ふとしたことに涙を流したりする自分に驚いたり、絵画の見方が変わってきた。

音楽を聴いて震えたり身体が熱くなったりする。

本物の芸術はいつどんな時代に出会っても誰かの生きるエネルギーとなり支えになっていくと思う。


IoYouの作品が今を生きる人、これから生まれる人に届いていくよう、わたしはIoYouのことを伝えていきたい。