本人尋問の話がちらほらと私の弁護士の口から出るようになった。
本人尋問??初めての裁判で初めて聞く言葉。
今考えると弁護士の説明不足だった。
弁護士の判断としては、別に証拠があるわけではないので本人尋問を受けてわざわざ上げ足とられる必要もないだろうとのこと。するのであれば申請すると言っていたので、勝手に行われるわけでもないのだとは察していた。
なので、枝野被告のことも同様にわざわざ申請しなければいけない本人尋問を知らない間に受けることもないだろうと油断してしまっていた。
当時は自分のことだけで精一杯だったこともあるが、枝野被告に注意することもなく、いつの間にやら枝野被告は本人尋問することになっていた。それでも裁判官の印象から不貞が認められるはずもないと考えていたので、本人尋問が決まったときに慌てることもなかった。
あとで確認したのだが、枝野被告は自覚を持って本人尋問の申請をしたわけではなかった。
原告の本人尋問が行われるにあたって「枝野被告も何か言いたいことがありますよね」と裁判官に言われ、「はい」と返事をしたとのこと。それが本人尋問を受けることだとは思ってなかったようだ。
本人尋問当日、私はそれまでの弁護士の様子から弁護士に対して不信感を抱くようになっていた。「報告」がちゃんと私にできているのか、そして、本当に本人尋問は受けなくてよかったのかという不信感だ。
ただ、それまでの裁判期間中、精神的に病んでいた私は当日の自分の行動を前もって計画できなかった。弁護士には「裁判に行くかもしれない。でも無理かもしれない。」と伝えていた。行くかも知れないというのは、当然裁判に参加するという意味だ。参加さえしておけば、発言ができるからだ。
この本人尋問については弁護士と私の打ち合わせがなかった。わたしは特に意見を持っていなかったというのもあり、原告への反対尋問、枝野被告への尋問(この場合は反対尋問というのかわからない)の内容は弁護士に任せた。ただ、それについてはもちろんチェックするという約束で、いつもどおりルーズな弁護士は本人尋問当日の朝にメールで送ると私に伝えてきた。・・・・が、届かなかった。なので内容は全くわからない。馬鹿な話だ。それさえ私がチェックしていれば、少なくとも枝野被告への尋問の練習はできたはずなのに・・・・。
裁判所に到着したときは、まだ他の裁判が行われていた。なので傍聴席に弁護士と枝野被告と三人で入ろうとしたのだが、そこには原告の姿もあった。
そうか・・今日は原告もいるんだ・・・当たり前のことなのにそのとき初めて感じた。そして裁判中に芽生えた原告への感情により予想外に怯えている自分がいた。
そんなわけで積極的に法廷に入ると意思表示をできなかった私のせいでもあるが、弁護士は当然のように裁判が始まったら私を傍聴席に座らせた。
傍聴席でも十分に心臓がドクンドクンと音を立てていた。
そして本人尋問が始まった。
