16:44 新聞の集金おばちゃん来社 何故か普段着の少しだらしない青年を横に連れている。
16:45 集金のおばちゃん引き返すも、青年一歩も動かず。
飛び込み客だろうが、予約客だろうが、業者であろうが事務所内に来客者がいる時に、中に
入ってきた人はいないので、この人物の存在に一瞬混乱してしまう。
3秒混乱した後、新聞屋の付添でなく、飛び込みの相談者である事に気が付く。
見た目は少しだらしなくも、至って普通の青年。
※少し色褪せた、胸元がVネックで開き過ぎのシャツ着用。首飾りなし
16:46 私の名刺を手渡し、テーブル席に座ってもらい、話を聞いてみることにする。
◇以下、会話の一部を抜粋◇
男「あのね、僕耳にICチップを埋め込まれてるんです。」
私の思考回路(出たなこのパターン、まぁ大人の対応で見事にかわしてしんぜよう)
男「ほんで、いつもいつも携帯電話のように会話してくるんです。最近は仕事中も邪魔してくるようになって困ってるんですよ」
私「なるほど、それはあなたの声が聞かれてるんではなくて、聞かされてる・・・って事ですか?」
男「両方です、私の事は何から何まで知られています。今も会話を聞かれています。」
私「あなたの体に機械を埋め込むためには手術をしなければなりません。拉致られた事があるんですね?」
男「……。 昔交通事故をして入院したことがあります。」←答えになってない
私「……。 ん?入院中に埋め込まれたって事ですかね、それではその病院がグルってことになってきますね。」
男「……。いや、もう昔からなんですよ。」←ナニガヤネン
私「いや、そこか肝心なんです。立派な傷害事件ですよ、そこから犯人像が見えてきます。」
男「……。だいたい犯人は分かってるんです、○○(地名)の孤児院の連中です。」
私「(話がぶっとんだな)…。 集団が人を付け狙うには、それなりの目的があるはずです。」
「一つは、大きな財産。二つは宗教がらみのトラブル。三つ目は…」
男が話の途中で割って入ってくる「○○○○です!(某、宗教団体)」
私「その団体と何かトラブッてるんですか?どんな関連が?」
男「親が入ってます。」
私「……。 特に何か狙われてる訳ではないんですね?」
男「いや、○○○○はやってきますよ!こちらもヤバいんじゃないですか!?」
私「いえ、別にうちは何もないですよ。」
男「みんなそう言うんです!!」
「○○○○は知らない間に回り固めてあーだこーだなんたらかんたら…」
私「その時は自分で対処するからうちの事はいいですわ。」
「取りあえず、体内に何かあるんだったら必ずレントゲンに写し出されるんで、まず病院で診断受けて下さい。」
「何か埋め込まれていれば、立派な傷害罪で警察も動きますよ。」
男「病院もグルなんです。」
「警察も何か知ってるみたいなんですが、僕には言ってくれないんですよ。」
「何よりも、特殊な機械なんでレントゲンに写らない。」
私「なるほど、だいたいお話は分かりましたが、あいにくうちの様な個人業者じゃ太刀打ち出来ないですね。」←打ち切りにかかる
男「いえ、簡単ですよ」
私「いえいえ、そんな特殊機械も使われて、病院や警察にも根回し出来るような組織には勝てないですね。」
男「知ってます?前に大事になった○○石鹸の話」←いきなり話が変わって帰らない
私「いえ知りません」
男「そこの石鹸で手を洗ってると知らない間に手の中に機械が入り込んでたって事件ですよ。」
私「へぇ~」
男「被害者側は民事訴訟を起こして数千万手にしたんですよ」
「僕はICチップを耳の奥と、目の中に入れられてますからね、大きなお金になりますよ」
私(目!?)←あえて口に出して突っ込まない
「相手から損害賠償金を取りたいなら弁護士の力を借りて民事事件に、相手を懲らしめたいんなら警察に動いてもらって、刑事事件!」
「私ら探偵は、相手を調べるのが仕事。でもあなたは相手を既に知っている。そもそも私らの出番はないですよ。」
男「探偵…(事務所内を見渡す)…興味あるんですよねぇ」←急にニヤニヤしはじめる
私「すいませんね、残念ながらうちでは何もしてあげられないですわ。申し訳ない!!」
男「(ニヤリ)あぁ、すいませんどうも。」
17:10 私の名刺をニヤニヤ見つめながら、停めていた自転車に乗って走り去る・・・
17:12 事務員「あ!さっきの男、自転車で目の前通りましたよ!こちら見つめながら!」
私「まじか!!」事務所の出入り口に近づいて外を見る。
その瞬間また事務所の前を通過。
半笑でこちらを見ている。
今度こそ自転車で中央環状線方向に走り去って行く・・・
左手に持った私の名刺を見つめながら・・・
途中まではよくある話やけど、最後が怖過ぎる
◆探偵コスモサポート◆