のぶろぐ

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アラフォーサラリーマン 旅の懐古日記

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~エピローグ~

 

 

 

 

 あの夜は次の日早いのに大宴会になったっけ・・・。

気付くとタクシーは高速道路を走っていた。

流れるように郊外の景色が過ぎ去っていく。

 

 僕らが火山に登っている間にMooseが航空券を手配してくれていた。

「明日、ATMにお金を振り込みに行こう。英語が読めないと大変だから一緒に行くよ」

「サンチアゴには昼頃到着するから、すぐにタクシーを拾って空港に向かえば問題ないよ」

「荷物はすぐに取り出せるように、空いている席に置くようにしよう」

最初から最後まで本当に世話になってばかりだったな・・・。

 

 

 

サンチアゴ郊外の景色。

 

 

 

 涙に変色した袖口を見つめてふと思う。

旅に出る前は、程よく彼らと接し、行きたい場所に行き、見たいものを見れればそれでいいと思っていた。

 

 感動の共有?

そんなもの頭の片隅にもなかった。

まして外国人となんて。

 

 ところが今の状況はどうだろう。

ドライバーに気付かれまいと必死に声を押し殺し、真っ赤な目からは大粒の涙がボロボロと止まらない。

そんな自分の姿を一体誰が想像することが出来ただろうか。

 

 

 思えばこのツアーでは、メンバーを通して常に自分という一人の人間を見つめてきた。

新しい自分を発見し驚くこともあれば、不甲斐ない無力な自分に落胆することもあった。

良くも悪くも今まで知ることの無かった自分が浮き彫りとなって出てくる。

それは何も僕だけではなかったはずだ。

 

 そんな新しい自分と向き合った一人一人が互いに刺激し合ってきたからこそ、普通では体験できないような壮大かつ濃厚な旅を創りあげることができたのだろう。

このメンバー無しに、この旅は存在しなかったに違いない。

 

 しかし、ここからは僕ひとりだ。

自分自身で物語の続きを綴っていかなければならない。

これまでの経験を生かして。

 

 

 

 さあ、空港だ。

ドライバーに運賃を支払い、新たな旅立ちの一歩を踏み出す。

と、その時・・・

 

 「お客さん!!」

 

 ドライバーから声がかかる。

 

 「ちょっと、料金は10,000ペソですよ!? 全然足りてないじゃないですか!」 

 

 オイオイ!

最初に7,000ペソって確認したのに、なんでいきなり10,000ペソになるんだよ!!

それ以上は絶対に払わないからな!!

 

 などと言い合っているうちに、気付けば他のドライバー達が集まってきている。

これはヤバい!

しぶしぶ支払い、すぐにその場を離れる。

 

 さすがは南米。

最後まで油断のできないところだ・・・。