《公道》
あの後、自信満々に始まったハニのテストドライブ…確かに初めは順調だった。
だが…
スンジョ:“おい、そろそろ車線変更しとけ”
ハニ:“え?え?”
スンジョ:“ウインカー出せ”
ハニ:“ウインカーね”
《ヴィーンヴィーン》
スンジョ:“それはワイパーだ!(怒)”
ハニ:“あれ???”
スンジョ:“もういい!どこか止めれるとこ探すから、まっすぐ走れ!”
…そうして、どうにか路肩に寄せ停車した
スンジョ:“ったく、俺が教えたこと全部忘れやがって、どこがベストドライバーだ!”
ハニ:“…こんなはずじゃなかったんだけど…”
スンジョ:“これじゃあ危なっかしくて運転なんてさせられないな。”
ハニ:“…”
落ち込み、目に涙をためるハニ。
そんなおまえを見てると、俺の心も痛んで…
スンジョ:“はぁ~(ため息)、まったく、余計な仕事増やしやがって。”
“帰ってきたら、特訓のやり直ししなけりゃならないな。”
ハニ:“!!”
“あたし、運転してもいいの?”
驚いた顔してこっちを見てる
スンジョ:“ダメだって言っても乗るんだろ?スンハが事故に巻き込まれたら大変だからな”
途端に、パッと表情が明るくなり、抱きついてくる
ハニ:“ありがとスンジョくん♡”
スンジョ:“おい!みんな見てるだろ!”
慌ててハニを引き剥がす
ハニ:“だって、嬉しくて♡”
スンジョ:“時間もないし、前より厳しくするから覚悟しとけよ。”
ハニ:“うんうん♪”
見えないしっぽがブンブン振り回されている気がする…
コイツ、ホントにちゃんとわかってんのか?
嬉しそうに笑うハニの顔を見ると、俺の心も軽くなった。
こっちに帰ってくるなら、やらなきゃならないことは山積みで、ハニに運転を教えてやれる時間なんて、あるかどうかわからない。
だけど、おまえが泣くのが嫌で、つい特訓してやるなんて言ってしまった…
なにひとつまともに出来なくて、迷惑ばかりかけるバカ女。
…なのに、誰よりも愛しい俺の妻。
おまえの笑顔が見たくて、頭の中で必死にスケジュールを組み立ててる俺は、もしかしたら、おまえ以上にバカなのかもしれないな。
-1ヶ月後-
俺たちは離島での引き継ぎを済ませ、ソウルの実家に帰ってきた。
またおふくろに振り回される日々が始まるのかと思うと、とてつもなく頭が痛いが、皆で暮らせることをハニもスンハもオヤジ達まで喜んでるんだから仕方ない。
新しい病院も決まり、俺は小児外科医として、ハニは同じ病院の小児科病棟の看護師として働く事が決まった。
3年ぶりのソウル(都会)、両親達との同居、スンハの入学、俺とハニは新たな病院での再出発。
離島での暮らしとはまるで違う毎日が俺たちを待ってる。
楽しい事ばかりとは限らない。
上手くいかないこともあるだろう。
傷つき、逃げ出したいと思うことさえあるかもしれない。
だけど俺たちは知ってる。
どんな困難な道も、諦めず前に進めば、必ず道が開けるってことを。
そして、努力することの尊さを。
スンジョ:“おい!そこを右だって言っておいただろ!!”
ハニ:“え?!右?”
《キュキュー》
スンジョ:“急にハンドルを切るな!死にたいのか?!”
ハニ:“だ、だって右に曲がれって言うから。”
スンジョ:“ちゃんと周りを確認しろ!!”
ハニ:“もっと早く言ってよ~”
ソウルに戻ってから、ハニの特訓を始めたが、案の定なかなか時間がとれず、俺の指導も厳しさを増す。
それでもハニは文句を言いながらもちゃんと特訓を受けている。
楽な道を選べば、俺もハニもこんな苦労しなくて済むだろう。
だけどハニは、それがどんなに難しいことでも決して諦めたりしない。
努力すれば必ず成し遂げられると信じているから。
そんなおまえを見てきたから、俺も、どんな困難にぶつかっても決して諦めたりなんかしない。
スンハも、俺に似てたいていのことは努力しなくともすぐできてしまう。
だが、いつか試練にぶつかる日がきても、諦めずに立ち向かえる子になって欲しい。
自分の人生に後悔して欲しくないから。
1人で乗り越えられない時は、必ず俺たちが支えてやる。
失敗しても構わない。諦めさえしなければ。
いいことも悪いことも、いろんな事を経験して、人は成長していくんだ。
スンハだけじゃない、俺たちだってまだまだ成長の途中
人生に正解なんて存在しない。
どんな選択をしようと、決めるのはいつだって自分自身。
悩みながら、迷いながら、一歩ずつ進んでいこう。
その一歩が、明るい未来に繋がっていると信じて
end.