劇症型心筋炎の闘病記

劇症型心筋炎の闘病記

25年6月に劇症型心筋炎であの世をみてきました。
発見や診断の遅れにより、
不幸な転帰をたどる患者さんが1人でも少なくなることを祈念して

風邪のつもりが心停止『劇症型心筋炎』のリアルの番外編

noteで闘病記を書き始めた思いとして、

『この病気が広く知れ渡り、早い段階でこの病気の可能性を疑い、

適切な行動をとることで、不幸な転機をたどる患者さんが1人でも減ってほしい』

 

というものがありましたから、

今回は、国内のガイドラインに記載されている、症状・徴候について
一通りまとめてみたいと思います。

 

 

起伏のない、のべっと平たい内容になっていますのであしからず。

 

画像
 

 

a.感染による症状

 

しばしば以下のような症状が先行し、
その後、数日~数週間の経過で心臓の症状があらわれます。



・感冒様症状(悪寒、発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、倦怠感)

 

・呼吸器症状(咽頭痛、咳)

 

・消化器症状(食思不振、嘔気・嘔吐、下痢)

 

先行する感冒様症状は,生検で心筋炎が証明された患者の36 ~ 89%で報告されています。

 

なのでどうか、「風邪を甘くみない」でください(自戒)

 

私自身は、2日間の発熱、倦怠感、関節痛のあと、3日目の朝に意識を失い、緊急搬送されました。

 

b.胸痛

 

前部の胸痛を訴えることが多いようです。

 

 

先行する感冒様症状のあと、1~4週間以内にあらわれ、頻度は 32~95%と報告されています。

 

 

また別の病気ですが、
胸痛は心膜炎の合併を示唆していることがあるようです。

 

 

心膜炎による胸痛は、

 

・鋭い胸焼けのような痛み


・吸気や咳により増悪し


・座位の前傾姿勢で軽減する

 

ことが特徴です。

 

 

また、狭心痛に似ることがあり,急性心筋梗塞との鑑別が問題となることがあります。

 

 

 

私自身には胸痛はありませんでした。


(意識を失っていたため自覚がなかっただけかもしれません)

 

 

c.心不全による症状

 

安静時または労作時の倦怠感や、
運動耐容能の低下(体を動かしたときに疲れやすかったり、長く動けなかったり)などを認めます。

 

 

進行すると呼吸困難、起座呼吸などが出現。


頻度は 19 ~ 72% と報告されています。

 

 

末梢浮腫(足のむくみ)、食欲不振などの症状を自覚することもあります。

 

 

私自身には、呼吸困難、起座呼吸があったことを憶えています(3日目)


横になっているよりも、トイレでうずくまっている方が楽だった記憶があります。

 

個人的にはこの症状が、かなり危険なサインでした。

この症状がでてすぐあとに、意識を失う→戻る→失う、が何度かあり、

心原性ショック → 致死性不整脈 → 心停止へと続いていきました。

 

 

d.不整脈による症状

 

不整脈に起因する動悸や失神があります。


動悸、失神の頻度は 6 ~ 25% と報告されています。

 

また、致死性不整脈により突然死をきたすことがあります。

 

 

既存の心疾患がなく、突然死した患者の剖検調査において、
6 ~ 14% に心筋炎が認められたとする報告があります。

 

 

突然死の発生率は、高齢者と比較して、若年者の方が高い傾向にあるようです。

その理由までは読み取れませんでした。

 

 

2005年の国内のケースレポートで、

意識消失で救急外来を受診

急性腸炎と診断され帰宅

症状改善せず、再度救急外来を受診した

というものも目にしました。

 

ケースレポートのリンク

 

 

診断が難しい病気であるとともに、
処置の遅れが、命や後遺症の明暗を分ける病気でもあり、


とても もどかしい気持ちになります。

 

 

まとめ

以上が発症前の徴候を、ガイドラインの記載を引用しつつ、まとめたものになります。

 

 

Factを並べただけなので、文章の起伏が少なく、


書いている自分も退屈でしたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

 

風邪のつもりが心停止『劇症型心筋炎』のリアルの番外編

今回は、退院後の生活での”気づき”について触れてみます。
短文です。

 

なぜか送迎したい

 

療養中ということもあり、妻が出かけるときには
「送っていこうか?迎えに行こうか?」と声をかけている。

 

 

妻の受け止めは、
『いや助かるけど』
『この人、暇なのか?』という感じ。

 

 

実際には、やりたいことはいくらでもあるし、暇なわけではない。


でも、そうしたい。

 

なにがそうさせているのか。。

 
 

なぜか。

 

――死にかけたとき、救急車を呼んでくれた命の恩人だから?
その恩を少しでも返したいから?

 

 

あるいは、
過去の死にかけた経験を通して
「この人と一緒にいれば、何かあっても命を救ってもらえる」
という安心感、保身のため?

 

 

もしくは、
病気を通じて家族の絆が深まったから?
一緒に過ごす時間を大切にしたいという気持ちから?

 

 

おそらくは、すべての要素が足し算されてのことなのかもなぁと。

 

 

 

前回の続き、退院後の生活についてまとめてみます。

 

子どもたちとの再会

 

久々に帰ってきた自宅。


子どもらは学校に行っており、家には私と妻だけ。

 

妻はあえて、今日の私の退院を子どもらに伝えていなかった。

 

 

「ただいまー!」
玄関が開く音と、小3息子の声が響く。

私を見つけるなり、「えっ!?パパ!?」と目を丸くして驚く。


「退院したんだね!」と駆け寄り、抱き合い、互いに喜びあう。

 

 

その後、喜びの表情が、みるみる泣き顔に変わっていく。
「びっくりした、よかったね、パパ、会いたかったよ…」

 

 

『1ヶ月もの間、寂しかったね、不安にさせてしまったね』
思わず私も涙があふれた。

 

 

衝撃を受けた写真

 

ICUで意識がなかった時の写真を、退院後に初めて妻から見せてもらった。

衝撃的だった。

私が想像していた「チューブにつながれた状態」を何倍も上回る悲惨な絵面だった。

 

画像
ICUに入院中の実際の写真

この姿をみた時の、妻の心境を想像したら泣けて仕方なかった。

 

 

それはそれは不安だったろう。悲しかったろう。
そんな状況をよく耐えてくれたね。よく子ども達を守ってくれたね。


本当に有難い。

 

 

退院後のフォローアップ

 

退院後は、外来診察で月1回、心臓リハビリで週1回、通院することになった。

 

 

診察日は、血液検査、心レントゲン、心エコー、心電図がセットになっていて、外来受付から診察終了までおよそ2~3時間。

 

リハビリは、ストレッチ、下半身の筋トレ、エアロバイクの流れでおよそ1時間という流れ。

 

状態が安定していたため、退院から2か月後には、
外来診察は2か月毎、リハビリは2週毎に間隔が延長された。

 

 

服薬は、エナラプリル(ACE阻害薬)という降圧剤と、
ビオスリーという整腸剤が処方された。

私の血圧自体は高くないものの、心保護効果を期待してACE阻害薬が処方されている様。

 

ビオスリーは正直なくてもいい薬のようだけど
主治医から「まぁ、あっても困らない薬だから」と言われ処方されている。

 

自宅での心機能モニタリング

 

退院してからしばらくは、
『眠ったまま目覚めないかもしれない』という恐怖とともに眠り、
『今日も心臓が動いている』という安堵とともに目覚めた。

 

 

「再発していないか」
「心臓はちゃんと動いているか」
その不安を少しでも和らげるため、Apple Watch と血圧計を購入した。

画像
家庭用血圧計

 

それら不安を少しでも軽減するという意味において、これらは有益だった。

しかしながら、人間とは忘れていく生き物。


退院から2か月もするとApple Watchも血圧計も、形骸化してしまったように思う(あかん)

 

仕事のこと

 

少なくとも半年間は休職するよう、主治医から指示があったため、現在は休暇中。

給与面については、有給休暇、積立休暇などの制度を利用することで、
最初の3ヶ月は満額、残りの3ヶ月は90%程度が支給されることになった。

 

 

思えば、大学を卒業してから20年余り。


サラリーマン生活のなかでこんなに長い休暇を取るのは初めてだ。

 

 

改めて自分の人生、働き方、家族のあり方を見つめなおす、
良い機会をもらったと思う。

 

 

その他の気づき

その他に、命を落としかけたからこその気づきを1つ。

 

それは、
パソコン、スマホ、クレカ、キャッシュカードなど、
諸々のパスワードを、平時のうちに家族と共有しておくべきということ。

また、脳死状態になったときや、臓器提供の意思表示などもそう。


備えあれば憂いなし。

 

 

終わりに

 

以上が、劇症型心筋炎の発症から退院、その後2か月が経過したところまでをまとめた闘病記です。

 

当時の私は、この病気について全く知識がなく、不安のなかで入院生活を送っていました。

 

そんななか、いくつかのブログや闘病記を見つけ、むさぼるように何度も読み返したことを憶えています。

 

劇症型心筋炎は希少な疾病のため、文献報告などもそれほど多くなく、

同様にブログや闘病記なども、少ないのが現状かと思います。

 

 

だからこそ、
患者さんやその家族にとって、この病気に関する情報は、

1つでも多い方がよいと思い、自身の経験もまとめてみました。

 

 

「劇症型心筋炎」の発見や診断の遅れにより、

不幸な結末をたどる患者さんが1人でも少なくなることを祈念して、筆を置きます。

 

FIN

 

 

【参考】
私が入院中に、むさぼるように何度も読み返した「劇症型心筋炎」についてのブログや記事を以下にまとめました。

(掲載許可は取っておりません。不都合がございましたらDMください)

  • 「劇症型心筋炎の記録」
    症状からリハビリ、退院後まで、シリーズ形式で綴られた体系的な闘病記テーマ。非常に詳細な記録集です。アメーバブログ(アメブロ)

 
  • 「劇症型心筋炎を知ってください ~劇症型心筋炎の闘病記~」
    ご自身が30代で発症された体験を綴るブログで、発症から回復後の状況まで丁寧に記録されています。心筋機能(EFやBNP)の数値も具体的に記されており、回復プロセスのリアルな描写が印象的です。アメーバブログ(アメブロ)

 
  • CSサロンVENUS「始まりは発熱でした~劇症型心筋炎との闘い~」
    発症直後の様子や診断前の混乱から詳細に綴られており、日常と急変の差が強く伝わる記事です。CS60 Salon

 
  • 医師のインタビュー記事:「心臓が動いていなかった《劇症型心筋炎》」
    実際に劇症型心筋炎を経験された方のインタビューです。初期は風邪と診断されることの多さから、緊急手術、社会復帰までの経緯がわかりやすく記述されています。メディカルドック

 
  • 「劇症型心筋炎の闘病記ブログ|BLOG Riberal Days」
    発症から闘病、退院後の振り返りをまとめたシリーズ形式のブログ。壮絶な体験とそこに宿る「助かった奇跡」への感情が丁寧に伝わってきます。リベラル+1

 
  • TOBYO:闘病記・ブログのまとめページ(複数の体験談が収録)
    「劇症型心筋炎の闘病記・ブログ」として、複数の症例が一覧できるまとめリンク集です。著名な体験談から一般の方の投稿まで幅広く閲覧可能です。Tobyo