最近、ACアダプタが小型化して便利になってきていますね。

私も遂に買ってみました。
左が従来(45W)、右が最新版(65W)です。
右の方が出力が大きいのにサイズ的には約半分といったところでしょうか。
持ち歩きを考えると結構大きな差です。

このような小型化実現の背景にはパワーエレクトロニクス技術の進化、

特にGaNデバイスの実用化がカギを握っています。

 

 

🔌【背景】なぜACアダプタは大きかったのか?

ACアダプタは「家庭のコンセント(AC 100Vなど)」を「スマホなどが使えるDC電圧(たとえば5V, 9V, 20Vなど)」に変換します。この変換のためには「スイッチング電源」という回路が使われていて、主に次のような部品が必要でした。

  • スイッチング素子(MOSFETなど):電気を高速でON/OFFして変換

  • トランスやコイル:電圧の調整やノイズ対策

  • 放熱のための金属部品:発熱を逃がすため

これらの部品は、効率が低いと熱が出やすく、熱を逃がすために大きく重くなるという課題がありました。


⚙【GaNが解決】なぜGaNで小さくなったのか?

GaN(窒化ガリウム)は、シリコンよりも電力スイッチとして優れた特性を持っています。

✅ GaNの技術的な特徴とメリット

 

特性 GaNのメリット 結果としての利点
高速スイッチング 何万回/秒というON/OFFができる 小さなコイルで済む → 小型化
低損失 ON時の電気抵抗が小さい 発熱が少ない → 放熱設計が楽
高耐圧・高温対応 高い電圧でも壊れにくく、熱にも強い 信頼性が高い、小型化可能

🔄【具体的に何が変わった?】

GaNを使うと、次のような変化が可能になります。

✅ 1. スイッチング周波数の高速化

  • これにより小さなトランスやコイルでも同じ電力を変換できる

  • 従来のアダプタでは100kHz程度 → GaNでは最大1MHz以上も可能

✅ 2. 発熱の大幅削減

  • 発熱が少ないのでヒートシンク(放熱板)を小型化or省略できる

  • 高密度実装が可能になり、基板サイズも縮小

✅ 3. 変換効率の向上(90%以上)

  • 無駄な電力ロスが少ない → バッテリー充電も早い、エコ


📦【なぜ最近まで普及しなかったのか?】

GaNは実は2000年代から知られていましたが、以下のような課題が解決されたのが最近です。

  • 高価だったGaN素材の量産化と低コスト化

  • パッケージ技術の進化で扱いやすくなった

  • スマホやノートPCなどで高出力・高速充電が求められるニーズの高まり

→ これにより、AnkerなどがUSB-C PD(Power Delivery)対応のGaN充電器を続々と商品化。


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🧠まとめ(初心者向け)

🔋 GaNは「電気を切り替える部品」がすごく優秀な新素材!
📦 これを使うとアダプタが「小さく・熱くならず・速く充電できる」ように!
🛠 今までは作るのが難しくて高かったけど、最近技術が進んで安く作れるようになった!
💡 だから今、GaNアダプタが人気になってきている!