1. それぞれの手法の共通点と原理上の関係性
1-1. フォーカシング(Focusing)
- ポイント: 身体が発している曖昧な感覚(フェルト・センス)に丁寧に注意を向け、言葉やイメージを与えることで「気づき」や「癒し」が起こる。
- 原理:
- 心と身体は密接につながっており、意識化されていない感情や問題が身体感覚として現れる。
- それを“優しく受け入れ”、イメージや言葉でフィットさせることで、潜在的なストレスやブロックが緩み、心身のバランスが回復すると考えられる。
1-2. クォンタムタッチ(Quantum-Touch)
- ポイント: 呼吸法と意図(イメージ)を用いて自分自身や他者にエネルギーを送り、“生命エネルギーの調和”によって痛みや不調を改善するアプローチ。
- 原理:
- 施術者・自分自身(セルフヒーリングの場合)の波動を高める→相手(または自分の患部)がそれに共鳴し、エネルギーのブロックが解放され、自然治癒力が引き出される。
- 呼吸法による副交感神経優位化、イメージや意図の集中による自己暗示効果、エネルギーフィールドの調整などが複合的に作用すると考えられる。
1-3. タッピング(EFTなど)
- ポイント: ツボ(経絡)や特定ポイントを指でトントンと軽く叩きながら、問題や痛みに関連する感情・思考を認知し、肯定的フレーズとセットで解放していく手法。
- 原理:
- 東洋医学の経絡理論+認知行動療法的なアプローチを併用している。
- 叩く刺激が身体の自律神経やエネルギー経路に作用しつつ、感情の“再評価”や肯定的フレームの導入によりストレスや痛みを和らげる。
共通点と原理上の関係性
- 身体への意識的アプローチ
- いずれの手法も「身体感覚に注意を向ける」あるいは「身体を直接(やや非言語的に)扱う」ことを重視する。
- エネルギー(または内的情報)に働きかける
- クォンタムタッチとタッピングはエネルギー経路や波動を意識し、フォーカシングは曖昧な身体感覚を言語化することでエネルギーの流れを促す。
- 意図の力・自己受容
- 自分の内面に優しくアプローチしようとする共通の姿勢(セルフ・コンパッション)が、自然治癒力を高める要因と考えられる。
2. 3つの手法を組み合わせることで得られる相乗効果
3つの手法を組み合わせることで、以下のような相乗効果が期待できます。
-
より深い内面・身体感覚の把握(フォーカシング要素)
- 痛みや不調に隠れている“言語化されていないメッセージ”を受け取りやすくなる。
- エネルギーワーク(クォンタムタッチやタッピング)を行う前に、どこにフォーカスすれば良いのかが明確になる。
-
エネルギーを高めてブロックを開放(クォンタムタッチ要素)
- フォーカシングで得た“ここがポイントだ”という身体感覚に、意図を集中してエネルギーを届ける。
- 呼吸法でリラックスが深まり、痛みやストレスが軽減しやすくなる。
-
具体的かつ動的に感情・痛みを解放(タッピング要素)
- 叩く(タップする)動作と簡単な肯定的フレーズを組み合わせることで、心身両面へのアプローチが加速。
- クォンタムタッチで高まったエネルギーが、タッピングによってより明確な解放経路を得る。
3. 具体的な組み合わせ方と実践ガイド
ここではセルフヒーリングとして自分で行う場合の一例を示します。慣れてきたら手順をアレンジしてみてください。
3-1. 準備段階:静かな空間とリラクゼーション
- 場所と姿勢
- 静かで落ち着ける場所を確保し、邪魔が入らないようにする。
- 椅子、ベッド、ヨガマットなど、楽な姿勢で座る・横になる。
- 軽い呼吸調整
- 目を閉じるか、半眼のまま、数回深呼吸をして身体の余分な力を抜く。
- この時点で「今からセルフヒーリングを始める」という意図を設定する。
3-2. ステップ1:フォーカシングで身体の声を聴く
- 全身スキャン
- 頭の先から足の先まで、ゆっくりと意識を向ける。
- 特に気になる部位(痛みや不調、不快感)に意識を留める。
- フェルト・センスを探る
- 「どんな感じ?」「重い?硬い?暖かい?冷たい?色はある?」などと、内心で問いかける。
- 言葉・イメージを見つけたら、その“合い具合”を身体に聞いてみる(違うと思えば修正する)。
- メインの“テーマ”を選ぶ
- このセッションでフォーカスしたい主な身体感覚や心理的テーマをひとつ選ぶ。
- 例:「腰の痛み」「最近感じるモヤモヤ感」など。
3-3. ステップ2:クォンタムタッチでエネルギーを高める
- 呼吸法(ランニングエナジー)
- ゆったりと腹式呼吸を続け、吸うときに“身体にエネルギーが満ちる”イメージを、吐くときに“余分な疲れや緊張が出ていく”イメージを持つ。
- 意図的に集中
- 先ほどフォーカシングで見つけた「痛み」や「モヤモヤ感」がある部位に両手を当てる、あるいは近づける。
- 自分の呼吸に合わせて、手からエネルギー(光や暖かい波動)が流れ込むようにイメージする。
- エネルギーの感覚を待つ
- 手のひら、患部(対象部位)にピリピリ・じんわりとした温かさなどを感じるかもしれない。感じなくても問題はないが、何かしら感じた場合はそのまま受け止める。
3-4. ステップ3:タッピングでブロックを解放する
- 簡単なフレーズを作る
- 先ほどのフォーカシングで得た言葉やイメージ、クォンタムタッチの際に気づいたことを交えながら、タッピングで使うフレーズを設定する。
- 例:
- 「○○の痛みがあるけれど、私は自分を深く受け入れ愛しています」
- 「このモヤモヤを感じているけど、それを手放す準備ができています」
- 主要なタッピングポイントを叩く
- 空手チョップポイント(手刀部分)
- 眉頭、目尻、目の下、鼻の下、あご先、鎖骨付近、脇の下、頭頂部…など
- それぞれ数回ずつ軽くトントンと叩き、フレーズを声に出して唱える。
- 感情や身体感覚の変化を観察
- タッピングを1ラウンド行った後、痛みやモヤモヤの強度を0~10で再評価してみる。
- 数値が下がっていればOK。あまり変化がない場合はフレーズや言葉の組み合わせを変えて、もう1ラウンド行う。
3-5. ステップ4:もう一度フォーカシングで“仕上げ”
- 再度フェルト・センスを確認
- タッピングまで行った後、再び静かに目を閉じ、身体感覚がどう変化しているかを感じてみる。
- 「さっきと比べて楽になった? まだ違和感がある?」と問いかけてみる。
- 残りの感情やメッセージを受け取る
- もしまだ残っているものがあれば、そこに手を当ててクォンタムタッチを行いながら、タッピングを追加するのも良い。
- 終わりの合図をする
- 深呼吸を何度か繰り返し、身体を少し動かしながら「これで今日のセッションは終わる」と自分に伝える。
- 必要ならノートに気づきや変化を書き留めておく。
4. 実践時のポイントと注意点
- 自分に合ったリズムで行う
- 1回あたり数分〜20分程度が目安。長時間やりすぎると疲れるので無理なく調整する。
- 批判や分析を後回しにする
- 感じたことを「こんなの馬鹿げてる」「変なイメージだ」などと否定せず、まずは受けとめる。
- あとで客観的に振り返ってみれば良い。
- 好転反応・一時的に強まる症状
- 稀に、抑圧されていた感情やエネルギーが表面化し、一時的に不快感や痛みが増す場合がある。
- その際は一旦中断し、水分補給や休息をとって落ち着くようにする。必要に応じて専門家(医師、セラピスト)のサポートを受ける。
- 医療との併用
- 重度の痛みや難病の場合は、必ず医師の診断・治療を受けた上で、補完的にセルフヒーリングを活用するのが望ましい。
- 継続と記録
- 1回で劇的な変化を期待せず、定期的に続けてみる。
- セッションの内容や気づきを日記のように書き留めると、後から振り返りやすい。
5. まとめ
- フォーカシングは、身体感覚の中にある潜在的なメッセージを言葉やイメージで捉える手法。
- クォンタムタッチは、呼吸法やイメージによってエネルギーを高め、問題となっている部位にアプローチするエネルギーワーク。
- タッピングは、経絡や特定ポイントを叩きつつ、言葉を活用して感情や痛みを解放する心理的アプローチ。
これらを組み合わせることで、
- フォーカシングで「癒しの的」を特定 →
- クォンタムタッチで「エネルギーを高め・共鳴させる」 →
- タッピングで「具体的な解放・再評価」を行う
という流れができます。そして最後にもう一度フォーカシングで身体の変化をチェックし、必要があれば再度クォンタムタッチやタッピングを行います。
セルフヒーリングは、自分の内面に深く寄り添い、身体と心の声に耳を傾ける習慣を育むうえでも非常に有効な手段です。焦らず、日々の練習としてこれらの手法を取り入れることで、より豊かな癒しのプロセスを体験できるでしょう。