4. 第三次世界大戦のリスク分析

第三次世界大戦の可能性: 現代における第三次世界大戦(WWIII)は「核兵器を有する複数の大国が直接衝突する多正面戦争」を意味すると考えられます。その発生リスクは決してゼロではなく、専門家の調査でも今後10年で世界大戦が起こりうると懸念する声が少なくありません。特に現在進行中の紛争が引火点となり、大国同士が軍事衝突するシナリオが警戒されています。主な**リスク要因(誘因)**と考えられるものを整理します。

  • 東ヨーロッパでの偶発的衝突: ウクライナ戦争を戦うロシアとNATOの軍隊・航空機などが接触事故や誤認によって直接交戦に発展する危険があります。例えばポーランドやバルト三国周辺でのミサイル誤射や、黒海・バルト海上空での軍用機の接近がエスカレートする事態です。ロシアは核兵器使用も示唆しており、一線を越えればNATOとロシアの全面戦争につながりかねません。

  • 台湾海峡・南シナ海での米中衝突: 中国が台湾に軍事侵攻を試みた場合、米国や日本が介入して米中日が戦端を開くシナリオが考えられます。南シナ海や東シナ海でも、自衛隊・米軍と中国軍の偶発的な武力衝突が起これば急速に戦火が拡大する可能性があります。米中双方とも核保有国であり、一旦衝突すれば制御は困難です​

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  • 中東での大国巻き込み: イスラエルとイランの戦争が勃発し、米国がイスラエル支援で参戦、ロシアや中国がイランを間接支援するような事態も第三次大戦の火種になりえます。シリア内戦やイエメン内戦などで米露が代理勢力を支援する構図がさらに拡大・直結する危険もあります。特にイスラエルは存亡が懸かれば核兵器を使う可能性も排除できず、中東での大国衝突は世界的核戦争に直結するリスクがあります。

  • 南アジアの核紛争: インドとパキスタン、あるいはインドと中国の間で戦端が開かれるケースです。インド・パキスタンは双方核兵器を持ち度重なる小競り合いをしてきました。ここが全面戦争となり核使用に至れば、国際社会を巻き込みかねません。インドと中国がヒマラヤ国境で衝突した場合も、二大人口国の戦争として世界を震撼させるでしょう。

  • 北東アジアでの軍事衝突: 北朝鮮が韓国・日本や米軍基地に対して挑発(ミサイル着弾や局地攻撃)し、米韓日が反撃して朝鮮半島有事となる場合です。北朝鮮は核戦力を持つため、追い詰められれば核使用の危険があり、米中露も巻き込むシナリオとなり得ます。

  • 軍拡競争と誤算: 宇宙・サイバー領域を含む新たな軍備競争もリスクです。特に**超高速の戦略兵器(極超音速ミサイル)**や自動化兵器により、危機の際の誤作動・誤判断で先制攻撃が発動される可能性も指摘されています。冷戦期にはキューバ危機など瀬戸際から回避した例がありましたが、同様の緊急ホットラインや信頼醸成措置が今の多国間で充分機能しなければ、不測の事態がエスカレートしうるでしょう。

以上のような要因が絡み合い、複数の戦線で同時に大国間戦争が起こるのが第三次世界大戦の典型像です。一度WWIIIに突入すれば、核保有国間の直接戦闘となる可能性が高く、人類に壊滅的被害をもたらすと予想されます​

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。各国がWWIIIに至る決断をするかは非常に重い選択ですが、万一発生した場合、それぞれの国にどのようなメリット・デメリットが生じるかを考察します。

戦争が各国にもたらすメリット・デメリット: まず大前提として、現代の総力戦・核戦争においては明確な勝者は存在しないということです。核超大国同士の全面戦争となれば「ピューロスの勝利」(大損害を伴う勝利)ですらなく、文明が崩壊しかねないとの見方が一般的です(アルバート・アインシュタインの有名な言葉に「第三次世界大戦でどんな兵器が使われるかはわからないが、第四次世界大戦は“石と棍棒”になるだろう」があります)。そのため、メリットと言っても極めて限定的・一時的なものであり、デメリット(損失)は計り知れません。その上で、仮に各国が戦争を遂行した場合に想定される利点・不利益をまとめると以下のようになります。

 

 

ご覧のように、第三次世界大戦はメリットよりも圧倒的にデメリットが大きいことは明白です。とりわけ核兵器が存在する現在、全面戦争は即人類滅亡のシナリオです。そのため、各国も「勝算のない戦争」は避ける方向に理性的には動くと考えられています。米ソ冷戦期も、直接衝突を避けて代理戦争にとどめたのは核抑止の恐怖ゆえでした。アイゼンハワー米大統領は「第三次世界大戦に勝つ唯一の方法は、それを防ぐことだ」と述べています​

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。まさに**「起こさない」以外に勝利の道はない戦争**と言えます。

しかし、仮に理性を欠いた指導者や誤算・暴発により戦争が勃発する可能性もゼロではないため、その引き金となり得る要因をあらためて明確にしておくことが重要です。上述の誘因をまとめれば、第三次大戦は主に「大国間同盟のどちらか一方に属する国が衝突し、同盟条約により他の大国が次々参戦する」パターンが考えられます。WWIの開戦プロセスと似ています。例えば、バルト海や黒海でNATOとロシアが局地戦→集団的自衛権で全面戦争、台湾有事で米中日が衝突→ロシア北朝鮮参戦と拡大、イスラエルとイラン開戦→米露中が関与、といった複合シナリオです。人類に残された時間は長くないかもしれないとの警告もあり、2025年現在は「最大の危険の時期」にあるとの指摘もあります。

このようなリスクを踏まえ、次章では第三次世界大戦を防ぐための提言を具体的に示します。

5. 第三次世界大戦を防ぐための提言

第三次世界大戦を回避するためには、国際社会の構造的アプローチと同時に、我々一人ひとり(国民レベル)の取り組みも重要です。アイゼンハワー大統領の言う通り「防ぐこと」自体が勝利であり​

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、戦争を未然に防止する手段を総動員する必要があります。ここでは我々市民ができる具体的で効果的な行動をいくつか提案します。

  • 歴史の教訓を学び共有する: 第一次・第二次大戦の悲惨さと原因を正しく学習し、次世代にも伝えることが平和への第一歩です。学校教育やメディアで戦争の悲劇と教訓を風化させないようにし、国民全体の「二度と繰り返さない」という意識を醸成します。過去の過ちを記憶し続ければ、安易な好戦論に流されにくくなります。

  • 外交対話と国際協調を支持する: 政府に対し、軍事力に訴えるのでなく対話や外交交渉による問題解決を積極的に行うよう世論として働きかけましょう。具体的には、平和的解決を掲げる政治家・政策を支持する、国連や地域協定など多国間の協調外交を後押しすることです。市民レベルでも、SNSや地域のイベントで異文化理解や交流を深め、他国への偏見や敵意を和らげる努力ができます。対立より対話の雰囲気を作ることが大切です。

  • 反戦・核廃絶運動への参加: 各地で行われる反戦デモやピースイベント、核兵器廃絶キャンペーンに参加・支援しましょう。市民が声を上げることで政府に圧力をかけ、軍拡競争を抑制する効果があります。例えば、イラク戦争に際して世界中で大規模な反戦デモが起きたように、第三次大戦の兆しが見えた時には**「NO WAR」の意思表示**を示すことが重要です(※2003年2月15日にはロンドンなど世界各地で数百万規模の反戦デモが行われました)。核兵器についても、被爆国日本の市民として核軍縮を訴える声を国内外に発信し、核抑止に依存しない安全保障の追求を後押しします。

  • フェイクニュースの見極めと情報発信: 現代の戦争は世論戦・情報戦の側面があります。政府や勢力が都合の良いデマやプロパガンダを流し、敵愾心を煽って開戦に誘導する危険があります。市民一人ひとりが日頃から複数の情報源にあたり、真偽を確かめ、偏った報道に踊らされないリテラシーを身につけましょう。また、理性的で平和的な論調をSNSなどで発信し、過激な主戦論にカウンターを当てることも有効です。情報の平和利用と誤情報対策は新時代の平和運動と言えます。

  • 政治参加と監視: 戦争を決断するのは為政者です。したがって、市民は政治参加(選挙投票や議論への参加)を通じて、平和志向のリーダーを選び、政府の戦争準備や好戦的政策をチェックする責任があります。国会での軍事費増額や危険な法律(言論弾圧や徴兵制など)の審議に目を光らせ、必要なら議員に意見を送ったり署名運動を行ったりして民主的にブレーキをかけます。政府を白紙委任しないことが、暴走を防ぐ鍵です。

  • 国際支援・経済交流の促進: 世界の紛争地域に対して人道支援や経済協力を行うことも、長期的には戦争予防につながります。貧困や絶望がテロや戦争の温床になるのを防ぐため、難民支援や途上国援助に市民として寄付・協力しましょう。また他国との経済的相互依存を深めること(旅行・留学・企業進出などで関係を強める)は、「戦争したらお互い損」という状況を作り出します。いわゆる**デモクラティック・ピース(民主国家同士は戦争しにくい)**に加え、経済的結びつきも戦争抑止に役立つとされています。市民レベルで観光やビジネスを通じて他国との友好的関係を築くのも有効です。

  • 抑止力と軍縮のバランス支持: 矛盾するようですが、戦争を防ぐには現実的な抑止力も必要です。他国の侵略を躊躇させるだけの防衛力・同盟は保ちつつ、同時に無駄な軍拡競争は避けるよう訴えることが重要です。例えば「防衛は必要最小限、攻撃的兵器にはNO」という明確な世論を示すことで、防衛と軍縮のバランスを取ります。政府に対しては、防衛費の透明性確保や外交的努力との両立を求めます。究極的には核兵器禁止条約などを支持し、段階的な軍縮で緊張を低減させる方向へ持っていくことが目標です。

以上の提言はいずれも市民にできる具体的行動です。我々一人ひとりの行動は小さいかもしれませんが、塵も積もれば大きな世論と流れを生みます。第二次世界大戦後、国連が設立され各種の国際法が整備されたのも、「もう戦争はごめんだ」という世界中の民衆の声が後押ししたからです​

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。第三次世界大戦を防ぐためにも、声なき声をあげ続けることが肝要でしょう。幸い現代はインターネットで世界中の人々と繋がり協力できます。平和を求める世界市民のネットワーク(NGOや草の根運動)に参加し、政府間の対立を乗り越えた民間外交を展開することも期待されます。

最後に強調したいのは、戦争は人の手で防げるということです。第一次大戦前夜、誰もが「クリスマスまでには終わるだろう」と楽観し破局を迎え、第二次大戦でも宥和や対立放置の結果取り返しがつかない惨禍となりました。しかし同時に、キューバ危機では冷静な判断で核戦争を回避し、その後の軍備管理(ホットライン設置や軍縮条約締結)につなげた成功例もあります。我々は歴史に学び、対話と協調の努力を粘り強く続けることで、第三次世界大戦という最悪のシナリオを回避できるはずです​

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。核のボタンを押すのも人間なら、それを止めるのもまた人間です。未来を担う市民一人ひとりの賢明な選択と行動こそが、恒久平和への道を切り拓く鍵となるでしょう。

 

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