日本人が英語を習得する際の障壁とその原因

  • 日本語にない音の発音の難しさ – 英語には日本語に存在しない音が多数あり、日本人学習者はそれらの音の聞き取り・発音に苦戦します。代表的なのが RとLの区別 や無声・有声の th 音(/θ/, /ð/)です。日本語では R/L に相当する区別がなく、ラ行音は英語のRとLの中間の音で一括りにされているため、成長後に英語を学ぶ日本人にはこれらの音の聞き分け・発音が非常に難しくなります​

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    。同様に “th” の音も日本語には無いため、「think」や「that」といった単語の発音が困難で、/θ/は/s/に置き換えるなど誤った代替発音をしがちです​

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    。これらの音は日本語話者にとって馴染みが薄く、耳が音の違いを認識できない場合も多いため、正確に聞き取れず発音もしづらいのです。
  • 似た単語のアクセント・発音差による聞き間違い – 英語には日本語より音素(子音・母音)の数が多く、僅かな発音・アクセントの差で意味が変わる語が数多く存在します​

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    。例えば “live”“leave”“ship”“sheep” のように母音の長短や微妙な違いで別単語になるケースや、“desert”“dessert” のようにアクセントの位置で意味が変わる単語があります。日本語は母音5つ・音素17程度しか持たないのに対し、英語は母音10前後・音素44ほどもあり​

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    、日本語では区別しない音の違いまで聞き分ける必要があります。加えて、日本語は語ごとのストレス(強勢)をあまり重視しませんが、英語では単語ごとのアクセント配置が意味理解に直結します。アクセントの置き間違いは相手に別語と受け取られたり、聞き手が混乱する原因となりえます​

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    。そのため日本人学習者は英語の微妙な発音差やアクセントの違いによって生じる聞き間違いを起こしやすいのです。
  • リエゾン(連結音)による聞き取り困難 – 英語の日常会話では、単語と単語が音声的に繋がるリエゾン(リンキング)や、音の消失・同化といった 音声変化 が頻繁に起こります。例えば “sit down” は「スィッ(ト)ダウン」の/t/が連結時にほぼ聞こえなくなったり、“an apple” が「アナップル」のように前後が繋がって発音されます。日本語は基本的に単語ごとにはっきり発音し、音の連結が少ないため、日本人は英語の連結した音声を一語一語に分解して認識することが苦手です​

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    。特に学校教育では単語単位・はっきりした発音で英語を習うことが多く、ネイティブのリエゾンだらけの滑らかな会話を聞くと、知っている単語でさえ切れ目が掴めず聞き取れなくなってしまいます。
  • イントネーションや強勢パターンの違い抑揚(イントネーション)音の高低・強弱の使い方も日本語と英語では大きく異なります。英語は内容語に強いストレスを置き、文全体で高低のある抑揚をつけて話すのに対し、日本語話者は平坦で抑揚をあまりつけない傾向があります​

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    。また英語では疑問文で語尾を上げたり、感情表現で大きくトーンを変化させたりしますが、日本語にはそこまで明確な音の強弱・トーンの変化がありません​

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    。その結果、日本人は英語特有のイントネーション変化に不慣れで、弱く短く発音される音(機能語の弱形など)を聞き落としたり、逆に自分が話す際に抑揚が不足して平板な発音になってしまい伝わりづらくなることがあります。例えば “can”“can’t” は語尾の[t]音の有無だけでなく、“can’t”の方を強く発音して区別しますが、日本人にはその強調のニュアンスが聞き取れず聞き間違える、といったケースです。英語固有のイントネーションやアクセントパターンそのものが日本語話者にとっては障壁となり、音として認識しづらい単語が出てきてしまうのです。
  • その他日本人特有のリスニング・スピーキングの弱点 – 日本語と英語のリズム構造の違いも大きな壁です。日本語は一音一音がモーラ(拍)として均等な長さで発音され、ほぼ必ず母音で音節が終わる開音節言語ですが、英語は子音で終わる単語が多い閉音節言語で、強弱のリズムを持つストレスタイミングの言語です​

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    。そのため日本人は英単語を発音する際に不要な母音を挿入してしまい(例:「dog」を「ドッグ」の2音節で発音する等​

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    )、英語本来のリズムからずれてしまいがちです。結果として、自分の発音がネイティブに通じにくいだけでなく、ネイティブの発話を聞き取る際にもリズムの差が妨げになります。ネイティブは “McDonald’s” を3音節で軽快に発音しますが、日本人は「マクドナルド」と6音節にも分解して発音するため、そのリズムに慣れていないとネイティブの速い発音が別の単語のように聞こえてしまうのです​

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    。さらに、日本人英語学習者は**「間違えてはいけない」という意識が強く抑揚をオーバーに出すことを恥ずかしがったり、大きな声を出さない傾向も指摘されています​

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    。加えて、学校教育でリスニングやスピーキング練習の時間が圧倒的に少ないことも苦手意識の原因です。英語の授業は文法や読解中心で、「英語を聞いて話す」訓練が不足しているため、実際の会話で経験を積まないまま大人になってしまう人が多いのです。その結果として、英語を聞く際につい頭の中で逐語翻訳してしまい処理が追いつかない**、自信がなく話せない、といった日本人特有の課題にも繋がっています。

障壁を克服するための具体的な方法

  • 発音練習のアプローチ – 日本語にない音を習得するには、正しい舌や唇の位置を意識した発音練習が有効です。例えばRとLなら舌先をどこにつけるか、THなら舌を前歯で軽く噛んで息を出す、といった具体的な調音方法の習得から始めます。日本人でも発音方法を理論的に理解し口の動きを訓練すれば、たとえ聞き分けが難しい音でも正しく発音できるようになります​

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    。加えて、ミニマルペア(音素が一箇所だけ異なる単語の組)を使った練習も効果的です。例えば「right」と「light」を交互に発音して違いを意識する、「sink」と「think」を聞き分ける練習をすることで、紛らわしい音への感度が上がります。発音練習ではまずゆっくり正確な発音を身につけ、徐々にネイティブに近いスピードで発音できるように繰り返します。また英語の音声変化(連結や脱落)にも慣れる必要があるため、単語単体だけでなくフレーズごと発音練習することが重要です。例えば “not at all” を単語ごとに「ノット・アット・オール」と発音するのではなく、繋げて「ナタトール」に近い音で発音する練習をします。効果的な方法の一つに オーバーラッピング(音声に合わせて一緒に発声する)があり、ネイティブの音声と同時に発音することで自身の発音のズレを修正できます。発音専門の教材や発音記号の学習も活用しつつ、録音して客観的に確認したり、可能なら指導者にフィードバックをもらうことも発音改善に有益です。​

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  • リスニング力向上の学習法シャドーイングディクテーションを取り入れたトレーニングがリスニングには効果的です。シャドーイングとは流れてきた音声のすぐ後を影のように追って復唱する訓練で、これを継続すると音の変化や区切りを脳が自動処理できるようになり、内容理解により集中できるようになると報告されています​

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    。実際、玉井健氏の研究では5日間集中的にシャドーイング練習を行った大学生は、英語の聴解力テストの成績が有意に向上したことが示されています​

    eiken.or.jp

    。まずはスクリプトを見ながら音声を真似し、慣れてきたらスクリプトなしで音だけを頼りに追いかけるようにします。この練習によってリエゾンなどで繋がった音の塊も聞き取りやすくなり、自身の発音やリズム感も同時に鍛えられます。ディクテーション(書き取り)は、一度聞いて書き取れなかった部分に意識を向けることで弱点を可視化し、聞き取れるまで繰り返すことで確実に音を捉える力を伸ばせる方法です。ある実験では、通常のリスニング練習のみのグループに比べ、ディクテーション練習を取り入れたグループの方がリスニング理解度の向上幅が有意に大きかったとの結果が得られています​

    teslcanadajournal.ca

    。ディクテーションを行う際は一文ずつポーズを入れながら音声を再生し、聞き取れた部分を書き出していきます。書き取れなかった箇所はスクリプトで答え合わせをして、なぜ聞き取れなかったか(音が連結していた、知らない単語だった等)を分析しましょう。これにより、自分に不足している音声知識をピンポイントで補強できます。さらに音読(音声を真似て声に出す)もリスニング力アップに役立ちます。声に出すことで耳から客観的に英語の音を認識でき、音と意味を瞬時に結びつける脳内処理が鍛えられるためです​

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    。音読する際は英語特有のリズム(強弱やタイミング)を意識し、ただ文字を読むのではなく実際の会話のように抑揚をつけて読むとスピーキングにもリスニングにも効果があります​

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    。総じてリスニング力向上のポイントは、大量のインプット(十分な量の英語音声を聞く)と注意深い音声の分析をバランス良く行うことです。ニュースやポッドキャストなど様々な音源に日常的に触れることもリスニング力の底上げにつながりますが、闇雲に流し聞きするより、上記のような能動的な練習を取り入れる方が効率的です。
  • イントネーション・アクセント理解を深める方法 – 英語の単語アクセント文全体のイントネーションを習得するには、まずは基本的なルールを学ぶことが有効です。辞書で単語ごとのストレス位置(発音記号中の強勢マーク「ˈ」など)を確認し、自分で発音するときにその音節をしっかり強く、他の音節は弱く短く発音する練習をします。例えば「record(名詞)」は第一音節、「record(動詞)」は第二音節にストレスがあることを意識して発音してみます。このようにアクセントの位置を間違えると意味が通じにくいことを常に認識し​

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    、新出単語は必ずアクセントを含めて覚える習慣をつけましょう。また英文のイントネーションに関しては、音声教材を利用してお手本の抑揚を真似るのが近道です。映画や英語スピーチの音声を一文ごとに止めて、その話者のイントネーションをそっくりそのまま模倣します(シャドーイングの要領で行う)。疑問文なら語尾を上げる、重要な単語はゆっくり高めの音で強調する、といったパターンを体に染み込ませていきます。自分の発話を録音して、ネイティブの抑揚と比べてみるのも効果的です。英語らしいメリハリのある発声を身につけるため、最初は少しオーバーアクションなくらいに抑揚をつけて練習し、徐々に自然な程度に調整していくと良いでしょう。また音節数とリズムも密接に関わるため、先述の通りカタカナ読みのように余計な母音を入れない発声を意識します。リズムさえ合っていれば多少発音が不完全でも通じることが多いとされるほど、リズム・アクセントは重要です​

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    。英文を見たら内容語と機能語に分けて下線やマークを付け、強く読む箇所と弱く速く流す箇所を視覚的に捉える練習も有用です。このように文字と音のパターンを結びつけておくと、実際のリスニングでもイントネーションから文の切れ目や意図を予測しやすくなります。
  • 日本語にない音を正確に発音・認識するためのアプローチ – 日本人が苦手な音(R/LやTHなど)は、聞く訓練発音する訓練を組み合わせて克服していきます。まず発音練習では前述のように口の形・舌の位置を一から習得します。その上で、同じ音を多様な話者の発音で繰り返し聞くことで音の特徴を掴みます。例えばRとLなら、様々なネイティブが発音する「right」と「light」を何度も聞き比べてみる、高低差や前後の母音との連結のされ方に注意を向けます。最近では発音練習用のスマホアプリ等で、自分の発音を録音するとネイティブの発音との違いを波形やスペクトラムで視覚的に教えてくれるものもあります。そういったツールも活用し、自分では同じつもりでも実際にはどう違って聞こえているのかを確認しましょう。また、フィードバック付きの発音トレーニングも有効です。発音専門の教師やネイティブ話者に発音をチェックしてもらい、細かな癖を修正することで、独学では気づきにくい問題音を克服できます​

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    。音の認識に関しては、最初は聞き取れなくても気にせず音声を流し続け、脳を新しい音に慣らすことも大切です。乳児が周囲の言語の音を聞くうちに少しずつ馴染んでいくように、大人でも繰り返し聞くことで「今まで区別できなかった音」がだんだん明確に聞こえるようになるケースがあります。またシャドーイングは発音練習としても機能するため、聞こえたまま真似る過程で日本語にない音を自分で出せるようになります。仮に最初は音の差を聞き取れなくても、発音記号と発声位置の知識を頼りに発声練習を積めば、そのうち自分の発音した音の違いを耳が認識できるようになるという報告もあります​

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    。要は「聞ける音は発音でき、発音できる音は聞き取れる」ように、聞く・話す両面からアプローチするのが効果的です。難しい音ほど時間をかけて丁寧に向き合い、根気強く練習しましょう。
  • その他効果的な学習法日本語脳から英語脳への切り替えを意識することも重要です。リスニング中につい一語一語を日本語に訳そうとすると処理が追いつかなくなるため、英語のまま情景や意味を思い浮かべる訓練をします。やさしい語りの英語オーディオブックを聞き、情景を頭に思い描く練習や、英語で聞いた内容を日本語ではなく英語で要約する練習などは、頭の中で直接英語を理解する力を養います。また継続性も効果的学習には不可欠です。一度に長時間練習するより、短時間でも毎日継続する方が定着しやすいと言われます​

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    。習慣化の工夫として、通勤通学時間に英語のポッドキャストを聞く、寝る前15分は必ず音読と決める等、生活の中に組み込んでしまいましょう。さらに、自分の上達を実感するために定期的に成果を測定することも励みになります。例えば月初めにTOEICのリスニング模試を解いてスコアを記録し、1ヶ月後に再度チャレンジしてみる、といった方法です。結果が数値で見えるとモチベーション維持につながります。最後に、学習に行き詰まったら学習仲間やコーチを頼るのも良い方法です。独学ではモチベーションの維持や誤りの訂正が難しいことがありますが、第三者の指導や指摘で飛躍的に改善するケースもあります​

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    。オンライン英会話や発音矯正スクールなどもうまく活用し、自分に適した学習法を取捨選択しながら、「聞く」「話す」のスキルをバランス良く伸ばしていきましょう。

究極のリスニング用スクリプト(500単語前後)

【※1人の話者が日常の出来事を相手に説明している形式のスクリプト。日本人が聞き取りづらい発音・リエゾン・アクセント上の要素を盛り込んだ英文です】

 

It was Thursday morning, and I slept right through my alarm clock ringing at 6:30. By the time I woke up, the clock read 7:15 AM – I was already late! I threw on some clothes, brushed my teeth, and rushed out the door without breakfast. I was in such a hurry that I almost forgot to lock the front door properly.

I ran to the station to catch the 7:30 train. The train was already at the platform, so I had to sprint. I slipped in through the closing doors just in time. I was out of breath and my heart was thumping. On the train, it was so crowded that I couldn’t even raise my arm to grab a handle. I stood there squeezed between a tall man and a lady with a large bag. Even though it was uncomfortable, I was lucky I got on. If I had missed that train, I would have been even later to work.

When I arrived at my station, I quickly got off and ran up the stairs. I bumped into my friend Lily in the corridor. She laughed, “Running late, are we?” – apparently, I looked as frantic as I felt. Luckily, our office was just a few minutes away. We walked together, and I told Lily about sleeping through my alarm. While we were walking, my boss Robert called me. I had trouble hearing him because of the street noise; at first, I thought he said, “Where are you?” but he had actually said, “We’re in a meeting.” I apologized breathlessly and told him I would arrive in five minutes.

I finally reached the office at around 8:05. I was about fifteen minutes late to the morning meeting. As I quietly opened the door, everyone looked at me. My heart sank. I found an empty seat and sat down as stealthily as possible. After the meeting, I went up to my boss and said, “I’m really sorry for being late.” He wasn’t happy, of course, but he just reminded me to set a louder alarm next time. I breathed a sigh of relief that I wasn’t in huge trouble.

The rest of the day was actually quite smooth. I spent the morning reviewing some documents and then had lunch with Lily at a nearby cafe. I ordered a grilled sandwich and she ordered a green salad. (She joked that at least one of us was being healthy.) The cafe was noisy, and at one point Lily asked me, “Can you pass the salt?” – I misheard it as “pass the sauce,” and we both giggled when I realized my mistake. After lunch, I had a call with a client from London. The phone line was a bit fuzzy; when the client said their name was “Theresa”, I had to ask twice because I heard “Lisa” the first time. I felt a bit embarrassed but eventually got it right.

In the afternoon, my boss Robert asked me to help prepare a presentation for a new project. We worked on it together. I had to present our proposal to the team, so I practiced saying the key points out loud. I paid attention to emphasizing the right words so everyone could understand clearly. Thankfully, the presentation went well – I didn’t flub any lines, and everyone seemed to follow along.

By the end of the day, I was exhausted. It was truly a long and eventful day. When I finally got home that evening, I kicked off my shoes, fell onto the couch, and let out a long sigh. What a day! I was ready to get a good night’s sleep. You can bet I set two different alarms for Friday morning – I certainly didn’t want a repeat of that thrilling but stressful start to the day!

 

学習計画(1週間・1ヶ月・3ヶ月)

英語のリスニング力・スピーキング力を伸ばすには、上記のスクリプトなどを活用して継続的に反復練習することが重要です。一般的には1日最低30分程度のリスニング学習を繰り返すと効果的と言われています​

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。以下は、本スクリプトを中心に据えた場合の1週間・1ヶ月・3ヶ月の学習計画と到達目安の一例です。

  • 1週間 – まずはスクリプトの音声(自分で録音するか、ネイティブの読み上げ音声がある場合はそれを使用)を毎日5~10回程度繰り返し聞いてください。1回あたり約5分の音声として、1日合計25~50分程度のリスニング練習となります。最初の数日はスクリプトを見ながら音と文字を対応させ、発音やリエゾンの箇所を確認します。その後、可能であればスクリプトを見ずに音だけで内容を追いかけます。一週間このペースで聞き続けると、最初は聞き取れなかった部分も徐々にクリアに聞こえるようになり、物語の展開を頭の中でイメージできるようになります。7日間で延べ 35~70回程度音声を反復した計算になり、これだけ集中的に聞けばスクリプトの内容はほぼ理解でき、セリフを部分的に口真似できるレベルに達しているでしょう。例えばRとLの音の違いや、短縮された “can’t” と “can” の差異なども、文脈と音から判別できるようになり始めます。ただしこの時点では、内容を覚えてしまっているため聞き取れている錯覚もあります。完全に暗記した英文ではなく新しい英文でも同程度に理解できるかを確認するには、他の教材でディクテーションを試すなど追加の練習がおすすめです。

  • 1ヶ月 – 上記ペースを継続しつつ、週ごとにトレーニングのフォーカスを変えてみます。第2週はシャドーイングに挑戦し、音声に少し遅れて続くようにスクリプト全文を真似して喋ってみます。最初は難しく感じますが、毎日繰り返すうちにだんだんと滑らかについていける箇所が増えてきます。第3週はディクテーションに取り組み、スクリプト音声を書き取ってみます。既に内容は頭に入っていますが、細部の綴りや聞き取りにくい機能語(冠詞や前置詞など)も漏らさず書けるかチェックします。聞き取れない部分があれば、それが自分の弱点音である可能性が高いので再度集中的に音声をチェックします。第4週は仕上げとして、スクリプトを見ずに音声のみで内容要約に挑戦します。英語音声を聞いた後で、理解した内容を自分の英語で話してみるか書いてみます。こうすることで「聞いて理解したことをアウトプットする力」まで鍛えられます。このように1ヶ月間で多角的に同じ素材を練習することで、スクリプトの内容は完全に頭に入り、音声知覚も自動化されます。延べ150~300回以上音声を聞いたことになり、ここまでくればナチュラルスピードの英語にもかなり耳が慣れているはずです。例えば最初は聞き取れなかった弱形の “and” や “to” なども音として認識でき、シャドーイングではネイティブの発話リズムにかなり近づいているでしょう。1ヶ月後には、このスクリプトと同程度の難易度の英文であればほぼ内容を聞き取れるレベルが目安となります。ただし、聞き取れる題材がこの一つだけでは偏りがあるので、以降は別の題材にも挑戦してリスニングの幅を広げていきましょう。

  • 3ヶ月 – 1ヶ月で一つのスクリプトをほぼ極めたら、次の2ヶ月ではさまざまな種類の音声に挑戦していきます。例えば2ヶ月目はニュース英語やTEDトークなど少し違ったジャンルのリスニング教材を使い、3ヶ月目は映画のシーンやドラマのセリフにチャレンジするといった具合に、段階的に難易度や話者のタイプを変えて練習します。引き続き毎日30分以上のリスニング練習時間を確保し、内容理解+シャドーイングやオーバーラッピングを組み合わせて継続してください​

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    。折に触れて、最初の“究極のスクリプト”も聞き直してみましょう。3ヶ月前と比べて格段に容易に感じられるはずで、自分の進歩を実感できます。3ヶ月(約90日)で積み上げたリスニング時間は合計50~100時間にもなり、これは英語初心者が日常会話のヒアリング力を身につける目安の500時間の一部に過ぎませんが​

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    、学習者にとっては飛躍的な成長段階です。3ヶ月の終わり頃には、スクリプトに出てきたような日常的トピックであればほぼ聞き取れる上級初級~中級レベルに到達しているでしょう。具体的には、英検で言えば2級のリスニングが高正答率で解ける、TOEICならリスニングセクションで高得点(300点台後半~満点近く)を狙える程度の力がついているイメージです。スピーキング面でも、シャドーイング等のおかげで発話の流暢さ(fluency)が増し、簡単な内容であれば英語で自分の出来事を説明できる力が養われているはずです。今後はこのベースをもとに、リスニングでは字幕なしで映画を観て細部まで理解することや、スピーキングではネイティブとのテンポの速い会話にも対応できることなどを次の目標に据えてみてください。3ヶ月間の徹底的なトレーニングを経て培った「音の底力」は大きな財産となり、その後さらなる実践や学習を積むことで、英語のリスニング・スピーキング力は一層向上していくでしょう。