インドで運転免許を取得する場合、LEARNER'S LICENCE(仮免許)を取得後、
1か月以降に本番の試験(DRIVER'S LICENCE)受験が可能になる。
しばらくは我が家のトヨタ・INOVA(7人乗りのミニバン)で自宅敷地内を練習をした後、
いよいよ本番の試験に臨むことになった。
実はすでに本番の試験に一度軽く落ちてしまった。
試験に落ちるのはもう慣れてしまったが(仮免を3度受験)、たった5分住宅街にある公園の周囲を
ゆっくり走行するだけのような試験に落ちてしまうとは、これまたかなり落ち込む。
とはいえ、ここまで来たのだから、最後まで馬鹿正直に試験に挑んでみようと、気力を振り絞った。
朝10時にカルナタカ州政府のRTO(交通局)へ向かい、受験料200ルピー(約400円)と
免許証・写真料150ルピー(約300円)を先払いし、教習所のコーディネーターと待ち合わせ。
炎天下の中、ほかの受験者と共にひたすらオフィサーを待つ。
オフィサー(役人)はここでは半分「神」のような存在、といっても過言ではない。
彼のサジ加減一つで、どうにでもなってしまうのだから。
待つこと、2時間。オフィサーが事務所から現れた。
受験者一同、半分「神」の彼について近所の公園に移動。順番に実技試験を受けていく。
内容は1回目の試験と同じ、公園の周囲を走行し、最後に車庫入れと縦列駐車をして、終了。
一人当たりものの5分で終わってしまうため、すぐに私の順番が回ってきた。
当日は教習所のスズキ・ALTOを借りて試験に臨んだが、
これが自主練習で乗っていたトヨタ・INOVAと勝手が違って、思うようにギアをスムースに
操作することができない。まごついているうちに、オフィサーから「どうした」と尋ねられ、
「普段乗っているINOVAと何もかも違うんです」、と。そうこうするうちに、エンジンがストップ。
「お前はもういい、次の人に交代」と、ついにオフィサーがしびれを切らし、
あっけなく2回目の実技試験が終わってしまった。
全受験者の試験が終了後、コーディネーターがその場で合否を言い渡しているところで、
私はこの後、RTOオフィスに残るようにと言われた。
どうやら、オフィサーの勤務終了後にもう一度試験を受けさせてもらえることになったのである。
そして再びオフィサーを待ち続けることに。
待っている間、教習所の車で少し練習をさせてもらいながら時間を潰す。
しかし、オフィサーがいつ現れるかわからないため、現場から離れることができず、
ランチにも行けず、トイレもひたすら我慢する羽目となった。
まるで罰ゲームのように、RTOオフィスの屋外で待ち続けること、3時間。
大人になってこれだけつらい思いをしたことがあるだろうか?
待ち疲れてグダグダになっているところで、事務所から出てきたオフィサーを捕まえて、
再試験を受ける頃には夕方5時を回っていた。
再試験では練習の甲斐あってスムーズに運転と駐車をこなすことができた。
これはきっと受かったに違いないと手ごたえを感じたが、実技後にオフィサーの事務所に呼ばれ、
何故か一通り説教を受けることに。
「混雑したところで絶対に運転するなよ」と言われ、そんなのバンガロール市街はほぼ無理じゃん
と思いながら、「はい、運転に慣れるまでは絶対にしません」、とあいの手。
「もし運転中に事故や違反を起こしたら、警察におれの名前を出していいから。
とにかく今回はお前を信じて、合格ということにしよう」とのこと。
やった!「サー(Sir)、ありがとうございます。すべてあなたのおかげです」、と合格を言い渡され
思わずおべっかが口をついて出てしまった。今まで何度も試験を落ち、外国人ということもあって、
試験に受かるのは本当は難しいんじゃないかと思っていたが、
こうして合格を言い渡されると、今までの苦労が実って、感慨ひとしおだ。
私に再試験のチャンスを与えてくれたこのオフィサーに出会わなければ、
ひょっとしたら受かっていなかったかもしれない・・・あー、彼は男前っていうか、本当に神様!
少し暖かい気持ちになって、RTOオフィスを後にすること、午後6時。とても長い一日だった。
そういえば、オフィサーの名前なんだっけ?
せっかく何かあった時に彼の名前を出してもいいと言われたのに、伺うのを忘れてしまった。
でもどうせ、長い名前で覚えられないからいいや…なんて思いつつ、
運転免許証が郵送されるのを楽しみに待つことにした。