こんにちは、たにえんです。今回はレゴで作ったランチア3Ro da 90/53自走砲について解説していきます。

 

<元ツイート>

https://x.com/Tanien_Brick_/status/1761733925196710382?s=20

<概要>

  

 この車両は第二次世界大戦時のアフリカ戦線でイタリア軍が運用した自走対空砲です。正式名称を90/53 su Lancia 3Roと言い、イタリア語でsuは「の上に」を意味するので、53口径90mm砲をランチア3Roの上に載せた、ということになります。

 ベースとなったのは名門ランチア製3Ro重トラックです。このトラックは戦後も生産が続けられたほどの傑作で、自走砲型の他にも兵員輸送型など多くのバリエーションがありました。本作品のタイプは1939年式90mm高射砲を荷台にポン付けした対空砲型です。搭載砲はイタリア版アハトアハトというべき性能をしており、同じ砲を搭載したトラックタイプの自走砲も他に何種類か生産されました。区分上は対空砲ですが、水平射撃による対戦車戦闘も行ったようです。非装甲のトラックなのに大丈夫だったんでしょうか...。この戦訓を元にブレダ501対戦車自走砲が生まれたのですが、それはまた後の話...。

 直接的な製作の動機はJBF2022でイタリア特集をした際に量産したランチア3Roトラックの車台が余っていたからです。タンパーツがもったいなかったのもあります。

 

<作品について>

 この題材を選んだ理由は変形ギミックにあります。荷台の周りには射撃時に90mm砲の反動を吸収する為のゴツい駐鋤(アウトリガー)や作業足場が取り付けられていて、射撃時はこれを展開します。このびっくりドッキリメカのような変形によって大胆なシルエットの変化が起こるという訳です。重トラックの車体からはみ出すほどの砲の巨大さに惹かれたのも製作のきっかけとなりました。ギャップ萌えというやつですかね。

↑車体に対して明らかに砲が大きい様子(実車もこんな感じ)。

 

<構造>

ランチア3Ro da 100/17自走砲との比較

 

 トラック車体の方は以前作ったランチア3Ro da 100/17自走砲のを流用しています。と言っても駐鋤を取り付けたり、ビルドの進化のために車体部分の桁を弄ったりしたので同じなのは見た目だけ、両作品に車体の互換性はありません。勿論、キャビンのドアやボンネットの開閉ギミックなど基本的な部分はそのままです。

キャビンにはミニフィグを並列で座らせることが出来ます。

 

 90mm高射砲の作成には多くの時間を掛けました。頑張ったところの1つに砲昇降用スパーギア(↑白矢印)の再現があります。今までレゴで高射砲系の大砲を作る際のネックにこのスパーギアが上手く再現出来ない点がありました。このパーツは大仰角を取る際に砲耳軸の回転と連動して大きく動くので、高射砲であることを示す表現としてとてもアイコニックなパーツです。これをどうにかして再現したいと思い、本作ではスパーギアを六分儀を用いて表現しています。パーツのアーチ部と砲耳の中心が重なるように取り付けているので、あたかも六分儀のアーチの端点にあるピニオンギアによって仰角が変わっているように見えます。

 

 

 因みに忠実な寸法再現をすることが多い自作品の中で実は意図的にバランスを崩して作った所があります。荷台の作業足場がそれです。実車は上からだと完全な円形をした鉄板ですが、レゴでその形状をやろうとすると過度に分厚くなったり、パーツが無かったりで再現が難しいです。実車をもう一度見たところ、角張った全体のイメージの中で丸っこい作業足場が非常に目立って見えることに気づいたので、いっそ強調することを思いつき、このようになりました。これもあって全体的にややデフォルメチックになりましたが、逆にミニフィグとの相性も良くなったのではと思います。

 

 「Fooco!!」(イタリア語で「撃て!!」)

対空射撃ごっこ。ゴロゴロ転がる空薬莢がポイント。

 この手の高射砲って何人で操砲するものなんでしょうか。射撃管制手・観測手・射手・装填手×2くらい?当時の写真を見る感じこれの倍くらい居そうですが

 

<まとめ>

 実はこの作品の製作は2022年の時点で半分決まっていたようなものでした。イタリア特集で作るトラックの題材を探すに当り、実車で派生型が多いと作品でもバリエーションも増やしやすいので、それを鑑みた結果ランチア3Roに決めた経緯があるからです。

 ともかく、気になっていたジャンルの作品なので比較的少ない労力で十分なクオリティの作品を作れたことに満足しています。自作品の中ではサイズ×コラボ性×史実要素を両立した珍しい存在なので、色々なところに持って行ってみたいですね。

 

今回はここまで、ではまた~。