F1ミニハクサイ104・105の育成過程

　小売店でのハクサイの販売は、普通種をカットして販売しているのをよく見かけます。

　そんな中、2005年頃から、ハクサイ品種の中に”ミニハクサイ”という分野の品種が登場し始めました。以前から、この分野の品種は数種類あったものの全国的に知名度があり品質の良い品種は少なかったように思います。

　また、今まで生で食べてこなかった野菜に「サラダ〇〇」と品種名をつけ、生食を勧める流れも出てきました。

　そこで、カットしなくても販売・利用に適した大きさで、生食にも向く品種を目指し育成を行いました。

【育種目標】

①　普通種の1/2～1/3位、約１㎏程度の大きさ

②　葉脈が厚く、生食にも向く食味・食感

【育成過程】

　育種開始の2000年初期には、素材となる品種数も少なく、入手も困難であったため、青果で販売されていた白芯系のミニハクサイを利用し開発を開始。

　食味・食感・舌触りを良くするため、南方系のF1品種から毛じがなく、葉脈が厚く、食味の良い形質の導入を図り、交雑・選抜を行った。

　選抜過程で、毛じもほとんどなく、食味などについても目標に達していたが、結球しにくい欠点が生じていた。

そこで、市販F1ミニハクサイ品種から結球しやすい形質の導入を試み、早生性のA系統、在圃性・耐寒性の高いB系統の2系統を作出した。ただ、交雑に用いた市販F1品種に結球上部がわずかに開いてしまう形質があり、その欠陥が残ってしまった。

2015年頃になるとミニハクサイ品種も多く発表されるようになり、その中から結球特性がよく黄芯系の品種を選び、その結球特性をA系統に導入し結球の改善を図り1系統（C系統）を作出した。

2022年に各系統を組み合わせ、以下の品種を育成した。

C系統×　A系統＝　F1ミニハクサイ104

C系統×　B系統＝　F1ミニハクサイ105

A・B系統は、わずかに自殖種子が入るため、採種はC系統側のみの片親採種となる。

両品種は、目標の特性を備えていると判断し、ミニハクサイ104、105新品種完成とした。

【品種改良・育成過程】F1ミニハクサイ104・105