朝9時、ハコフグの帽子をかぶった彼は、
ロケバスから飛び出し、スタッフの前にでて大声で叫んだ。
「みなさん、よろしくお願いします。」
彼の徹底したプロぶりに驚く。
すべての制作スタッフ一人一人に挨拶をするばかりではなく、
かつてロケを一緒にした水中撮影スタッフとは、
旧来の友のように話す。
さかなクンが、ロケ隊をひっぱっていく。
ロケが行われたのは、工場地帯のど真ん中。
彼は、こんな場所に魚がたくさんいるのだと話す。
我々も、さかなクンを信じて、
大勢のスタッフを動員しロケを行った。
さかなクンを先頭に、海中へカメラが入る。
すると、信じられない世界が広がっていた。
そこには、魚たちの群れがあった。
水質も、思ったよりクリア。
現在、環境に関する規制が厳しくなり、
工場排水は浄水しなければ海へ流してはいけない。
その結果、日本の工場地帯の海は、
驚くべき回復を遂げているのだという。
オバマ大統領が提唱している。グリーンニューディール政策。
環境に対する規制や投資を行うことで、
雇用が生まれ経済が活性化するというものだ。
サカナくんは、工場地帯で
これが自分たちが進むべき道だと見せてくれたような気がした。
ハコフグの帽子を被った男は、
魚を愛し、自然を誰よりも情熱的に、そして冷静に愛している。
ユーモアたっぷりの口ぶりや態度とは、
裏腹に志は高く。男を感じた。
彼は、海洋大学の准教授であり、
水産庁の特別委員を務めている。
イラストを勉強し、魚の解説を楽しく詳しくしてくれる。
サカナのためなら、なんでもやる。
子供に絶大なる人気を誇るテレビの人気者だけではない。
一道を極め続ける者の凄まじいまでのオーラを感じた。
最後に、
「これよかったら、つけてください。」
彼は自分の携帯ストラップをプレゼントしてくれた。
それは、ハコフグの帽子をかぶったキューピー。
帰り道、ストラップを見つめながら思った。
ここには、
「魚を守ろうぜ!環境を真剣に考えようぜ!」という
強いメッセージが込められている。

















