あやちゃんとぼく
ぼくはイエローのラブラドールレトリバーのちゅら。あおば小学校に通っている。
ぼくのクラスにあやちゃんって子がいるんだ。いつもニコッて笑ってくれて、歌がとてもうまくて、柴犬を飼っていて、いちごが好きで、水色が似合ってて、ぼくが分数が分からなかったときケーキを使って教えてくれて、給食のパンをいつも3分の1くれて、雨でぬれたときハンカチでふいてくれて…やさしくて、何となく気になる子なんだ。
この前、席がえをしたら、ぼくのとなりにあやちゃんがすわることになったんだ。ほんとうはうれしかったのに、ぼくはなぜか「えーっ、あやちゃんがとなりなん」って言ってしまった。そうじをするとき、あやちゃんがほうきをわたしてくれてうれしかったのに、ぼくはなぜか「えーっ、ぼく黒板を消すわ」って言ってしまった。授業中、先生に当てられて分からなかったとき、あやちゃんが小さな声で答えを教えてくれてラッキーだったのに、ぼくはなぜか「えーっ、ぼくこんな問題ぐらい分かるよ」ってまちがった答えを言ってしまった。
そんなこんなで、なぜかぼくはあやちゃんに失礼なことばかりしている。でも、あやちゃんはおこらずにニコッて笑ってくれる。そうなると、ぼくはなぜか腹が立ってしまう。いつもいっしょに帰っていたのに、あやちゃんをおいてダッシュで帰ってしまう。
あーあ。なぜか、あやちゃんを傷つけてばかり。だめなぼく。でも、あやちゃんはぼくの忘れ物の帽子を家までとどけてくれた。ぼくはうれしかったから「ありがとう」って言えばいいのに、なぜか「学校においてきたのに」って言ってしまった。あーあ。だめなぼく。
お父さんがぼくの好きな黒豆プリンを作ってくれた。晩ごはんのあと、デザートに黒豆プリン大盛りを食べながら、ぼくはお父さんにあやちゃんのことを相談したんだ。お父さんは「ちゅらはあやちゃんに悪いことをしているなって思っているの?」と聞いてくれた。ぼくは正直に「うん」と答えた。すると、お父さんは「悪いなって思っているなら、そうでないようにしたらいいよ。それだけのこと」と軽く言った。そうだよな、ほんとうはうれしいのになぜかちがうことを言ってしまう。だめなぼく。
次の日は絶対あやちゃんと帰ろうと決めていた。でも、雨がふって、あやちゃんといっしょに学校で本読みをして雨やどりしていた。雨が上がったから、帰ろうとしたら、南の空に大きな、きれいな虹が出ていた。ぼくとあやちゃんは虹に向かって走った。そして、ぼくは大きな声で「あやちゃん、ごめんね」って言えた。すると、あやちゃんはふりかえってニコッて笑ってくれた。
よかった。自分の気持ちに正直になるって、とてもスッキリするね。