肌寒くなってきた今日このごろ。
まだ太陽も おやすみしてる時間帯、田中家の寝室で苦しむ田中さんの姿があった。
「あーへへっ」
「あーたっくん??聞いてますの?痛いでございますのよ?」
笑顔で田中さんの前髪を引っ張りあげるのは、息子のたっくん。
赤ちゃんだと 侮ってはいけない。
ヤツらは『手加減ができない』のだ。
寝起きで油断しきっている所を、全力で毛根に攻撃を仕掛けてくる。
「はははっ」
「なんてこと!ワタクシの可愛いたっくんが 悪魔になってしまっ・・・ちょ、ヨダレはやめて〜!ギャーー」
昨日の夜遅くまで『悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました』を読んでいた影響か、悪役令嬢らしく嫌味っぽいお嬢様口調だった田中さん。
そんな事が分かるはずのない、たっくんの口から、だらぁーとたれてきたヨダレに、田中さんの余裕もなくなった。
「毛根にさらなるダメージがぁ・・・」
抵抗虚しく田中さんの頭皮にたどり着いたヨダレ。ちょっと気持ち悪いが耐えられるので我慢する。
田中さんにある母親としての心理が嫌悪感を抑えてくれているのだろう。
『眠たいし、めんどくさいからもうイイや』 など、女子力53万の田中さんが考えてるわけがないのですよ。
「あぁ゛ーおきた、」
「あっおはよう 伴くん。」
「・・・朝から元気だな」
「たっくんが伴くんの方へ行かないように抑えてたんだよ!」
ドヤっとする田中さん。
呆れた顔でそれを見る伴くん。
たっくんの行動を抑えても、大声で喋ってたら意味がないのだが、さすが、残念お母さん。
「あー」
「ちょ、もう髪の毛引っ張るのはやめてーー」
たっくんの攻撃に涙目の田中さん。
「お母さんが禿げ散らかしてしまったらキサマのせいだぞ」
「へへへっ」