むかし、むかし、あるところに、
本当は臆病なんだけど、いつも勇気を出したいと思っている、
一人の髪の長い女の子が、小学校の音楽室の窓から、校庭を眺めていました。

校庭には、同じくらいの歳の女の子がたくさん、楽器を持って並んでいます。

たいこ、ラッパ、、、
だんだんと太陽がさがってきて、夕日がきれいなオレンジ色に染まった校庭。
そこは、とてもとても華やかに輝いて見えました。
トランペットの音色が心地よく響いていました。


マーチングバンド。

校庭で、練習しているのは、マーチングバンドに入っている人達。
講師は、音楽の先生です。
それぞれが楽器を演奏しながら移動し、
みんなで、いろいろな形を作ったりして、見ている人を楽しませます。

女の子は、そんな世界に入ってみたいと思っていました。

数日後、勇気を出して、マーチングバンドの仲間入り。
女の子は、小太鼓を希望し、そして担当しました。
小太鼓=スネアドラムといいました。

思ってたより、重いドラムを肩からしょって、楽器が揺れないよう、
上半身をなるべく水平に、動かさないように歩かないといけません。
それが、なかなか難しかったと、女の子は言っていました。

その後、街のパレードや、マーチングバンド大会に参加したりしました。
女の子は、小学校を卒業してからも、マーチングバンドを続けました。
中学に入ると、上は30代までの、マーチングバンドを愛する人達も
集まってのチームとして、幅広い年齢層が集まり、
毎週日曜日みんなで仲良く練習したと言います。

やがて、その女の子は中学3年生になりました。
もうすぐ高校に入るという頃、田中有紀美として、
芸能界にデビューする事になりました。

マーチングバンドの、練習に参加することがなかなか難しくなり、
女の子のマーチングバンドな約5年間は終了したのです。

女の子が、マーチングバンドに入りたかった理由。
音楽が好きだったから。
楽しそうだったから。
そして、もう一つ。

広い道路の真ん中を、歩いてみたかったから。