全体的な雰囲気、俳優の演技力、演出など序盤はまだ良かったが、中盤以降のストーリーの流れや演出が余りにも胸糞悪くて途中で断念してしまった作品。

ヒロインは聡明な美しい女性と言う設定だが、髪型や衣装によっては結構おばさんに見えた。狼に育てられたという設定なので、驚異的な身体能力がある…と言ってもジャンプしただけで屋根に乗れる程の脚力があるのはさすがに無理があるだろう。わかりやすいベタなワイヤーアクションに失笑してしまった。古い作品なら仕方ないと納得しようとしたが、これはなんと2010年以降の作品だった。同時期の韓流ドラマと比較すると、酷い演出というか技術力と言えよう。ヒロインの心変わりの仕方も、酔った勢いで肉体関係を持ってしまった後だから不純にしか見えなかった。あっちへフラフラこっちへフラフラするよりはまださっぱりしていて良かったのかもしれないが、時間の流れが視聴者に伝わりにくいのも相まって、描写不足に感じた。九爺に惹かれていく描写が恐ろしく丹念で繊細だっただけに、残念でならない。ヒロインの心の変化の描き方がこれだけ下手なのに、主要な男性陣が恋愛において一途なのも数十年前の少女漫画のようで余計に古臭い。側室がいて当たり前な時代の王族や貴族が、1人の女性に生涯を捧げる事自体が不自然なのに、そんな男が何人もいるのはおかしい。

衛無忌が誠実な男という設定だが、戦場に嫌がる女を連れ回したり、ヒロインが見ていない場所で感情が昂ると物に当たり散らして暴れたりと、…誠実さは人並みじゃなかろうか。戦場に女性を連れて行くという行動はむしろ不誠実に該当するだろう。皇帝に結婚を勧められても断ったり、権力には無関心なように見せかけて皇帝に好かれる為にわざと部下に嫌われるといった意味のわからない策略を巡らせているのも、現実味が無さ過ぎて白けてしまった。有能な将軍が嫉妬で気が狂って落馬するエピソードも、個人的には頂けない。有能な将軍だからこそ、ここで感動するって人もいるんだろうか。

九爺が遺伝的な持病や不自由な体を理由にヒロインを拒んだのは理解出来る。ここまでは良かった。何故急にヒロインに想いを打ち明けて惨めに振られる必要があったのかが分からない。あんなに頑なにヒロインを拒み続けていたのに、家来に唆されて形振り構わずヒロインに縋っている姿は滑稽過ぎた。

度々九爺の医術を都合良く利用しながら中途半端に関わってくるヒロイン…。九爺に迫られて彼女自身も涙を流していても、衛無忌への気持ちは全くブレない。九爺の気持ちを涙ながらに拒否した直後でも、何事もなかったかのように衛無忌と下品なラブシーンが繰り広げられるのも独特な演出だが、これが私には無理だった。ヒロインが「きのこ汁を飲みたい」と言ったところで限界が来て観るのをやめた。

皇帝の側室になった秦湘ですが、絶世の美女のような扱いをされている。でも私にはヒロイン以上におばさんに見えた。度々ヒロインが九爺に想いを寄せている間友人だったことを強調するが、友人だった事なんて一度も無い。これも、描写不足なだけだろうが、利害が一致したから協力関係になっていただけでどう考えても友人ではない。側室になる直前に秦湘が復讐する理由をヒロインに打ち明けて、そのあとすぐに秦湘は王宮に行ってしまったように見えたので、友人だったとか秦湘は人が変わってしまったと言われても、最初から目的の為なら手段を選ばない人だったとしか…。

製作側が1人の女性を巡って衛無忌と九爺が三角関係になる少女漫画チックな物語を描きたかったのだから仕方ないのだが、個人的には衛無忌が不本意ながらも正室を迎えるとかもう少し現実味のある話にしてほしかった。九爺との悲恋を第一部、秦湘との争いを第二部として、それぞれもっと丁寧に描写すれば傑作になる可能性は十分あったのでは。

そして、驚きなのがこの風中の縁…、華流ドラマのお勧めランキングなんかでよく紹介されている事。華流ではこのクオリティが普通なんだろうか。韓流に比べて華流は日本であまり流行っていない理由が良くわかる。