帰る途中必ず声を掛けられる。
決まって同じ娘に、決まって同じ台詞で。
今までどんな誘惑にも打ち勝ってきた男だったし、
狭い船の中で掛けられる、熱いパワハラ&ゲイセクハラにも、一度たりとも屈したことは無い。



その日は何かが違った。
それは、私自身だろうか、彼女のほうだったのだろうか。

『安くしときますよ!』

そんな言葉につられ、場末のショットバーに誘われた。

『ボトル下ろしたほうが、安く上がりますよ!』

言うがまま私はボトルを入れた。


吉四六

16000円

余程の高級酒なのだろうか。
元々酒に疎い私は、そのディスカウントストアに転がってそうなボトルを見ながら、
まだ見ぬ少し淫靡な夢を見ていた。