核医学専門技師です。
仕事がらみのかなり地味ぃ~な書き込みです。
脳血流シンチに携わる診療放射線技師ならご存じと思いますが、パトラックプロット法では脳血流値(mCBF)を求めるのに大脳(Brain)と大動脈弓(Aorta)にROIをとります。松田先生の論文によると、mCBFはこれらROIの大きさの比に依存するそうです。(諸説あり)
核医学に従事し始めてから1~2年経った頃、勉強会等で「脳と大動脈弓のROIの大きさは10:1」と聞き、
そうだったのかっ!
と新鮮な感動を覚えた記憶があります。
しかしながら、説明していた演者は脳のROIについて全脳なのか半脳なのかを明確に区別しておらず、自分は「"全脳"と大動脈弓のROIの大きさ比10:1」ととらえ、長い間刷り込まれたままでした。さらに、病院実習生にもそのように説明してきました。
日本核医学技術学会編の「核医学画像処理」には『大脳半球』という言葉が用いられていますが、脳の形って球ではなく扁平しているので、無意識に大脳半球すなわち脳全体のことを指しているのだと錯覚したようです。
ところが!
大脳半球は左右それぞれにあり、片側の脳を指すのだと、ようやく知りました。
・・・
愕然
・・・
というか解剖学用語を誤解していた自分が恥ずかしい
・・・
図で示している文献がないのも原因
・・・
というわけで、10:1にすべきROIが全脳ではなく半球であることを図示しておきます。
私と同様に誤解したままの技師がいるかもしれませんし・・・
間違ったことを教えてしまった実習生達にも伝わるといいな。
彼らはきっと就いた病院で正しく教えてもらってるかな・・・
注)この記事を読んで「今まで間違った数値を出していたのかっ!」と𠮟られそうなので補足しておきます。実際mCBFはROIの大きさで多少変動しますが相関するわけでもなく比率を正確に10:1にする意味はほとんどないと思われます。それよりROIの位置による変動のほうが大きいです。技師間差を減らすなら位置を揃えるべきです。