プラグの話
オットーサイクル機関を使っている限りは切っても切れない点火プラグの話。
これも正しい姿が理解されておらずメーカーの受け売りで、まことしやかな話がまかり通るお粗末な状況です。
だからこそか、賢明な方から疑問を持って聞かれることがあります。
可動部分はないので基本的には機械工学と金属材料の話なのですが使われ方から来る厳しさの幅が広いので評価する際の条件が他の部品とは異な感じですかね。
安全率を高く設定しているというのか、ひどい使われ方にも対応しているといえばよいのか過剰品質だろうといえばそれまでです。
使用条件 温度500℃から900℃
繰り返し回数 5*10^8回/5000km交換として
圧力 50MPa
材質 ニッケル合金 プラチナ合金 イリジウム(白金系)合金
組成 混合材の焼結
正常な使用範囲では、こんな条件ですからどうということはない条件です。
やはりメーカ推奨基準の十倍の距離を使ってもなんら問題ないでしょう。
鋳鉄の排気管などに比べれば温度は同じでも高温耐熱の耐力が雲泥の差ですから組織の面芯立法構造が崩れることもないのでクリープの発生も起きません。
金属疲労のS-N線図の考え方そのもので良くて線図の範囲内であれば半永久的に問題発生が起きません。
メーカーがカバーする統計でいうところの90パーセンタイル以下の使用条件であれば延々と使用してもプラグ性能に変化が起きないということです。
何が厳しい条件になるかというと火花の発生電圧が通常より高い条件や異常燃焼での温度上昇などです。
そうなると電極の表層のダメージが極端に増し寿命(表層の消失)は二字曲線的に下がってきます。
ベアリングの面圧増加によるピッチングなどと寿命形態が似ています。
すべてのエンジンが理想的な空燃比が確保されているわけではないのでアフターマーケットの点火系を設置することなど頻繁に起こるので条件の許容値をそれらをカバーするところまで見ています。
市場の使われ方の中央値に製品の寿命を置けば、本人は全然思っていない厳しい使い方する人に、なんだこれ!すぐ電極がなくなるっちと言われてあっという間に総スカンを食ってしまい企業イメージ駄々下がりで立ち直れません。
そのような市場の厳しい条件を模した試験条件でも大丈夫な寿命を謳っているため、ある意味大きなマージンを取っているわけです。
しかしメーカーの交換基準は厳しい使われ方をした場合を前提で設定しています。
それはそうですよね、企業の評判が落ちない様に寿命のマージンは持っているけどプラグ交換をしてくれなければ儲かりませんから。
特に日本人は決められたことを自分の判断で破ることにとっても抵抗があり、自己責任で物事を判断するより他者責任にゆだねたいとの性質が根強いことはよく知られていますので謳っておけばその通りに交換してくれますから、うしっし。
それらを正確に判断する思考を持たない消費者を相手にメーカーも自己防衛のためにはそうせざるを得ないのです。
本当は自分の走行条件に合った一度も交換することが必要のない最低限の安いプラグを選べるようにメーカーに要求するのが理想的です。
しかしそのためには消費者がもっと勉強する必要があります。
ちょっと極端ですがエンジン屋は良く言うのですが、ガソリン機関は空燃比だけだよなと。
ガソリンエンジンの様な点火機関は混合気に火花で点火をするわけですがストイキ~出力空燃比周辺では火花を強くしても性能には変化は見られません。ですから正しいセットがなされている燃料系に過剰な火花は無駄に点火プラグとACGの寿命を下げるのでメーカーも必要最低限の電圧供給する物しか設置していません。もちろんコスト面でも。
コイルの抵抗は5オームで充分です。
問題なのは混合気が正常でない状態では総合的に火花の貫通力が下がってしまい、その条件で点火させるには通常レベルとは異なる電圧まで必要となります。
旧車にはよくあるケースですが、そんな条件は燃焼が悪くなるので直ぐに電極がカーボンブロック
されてしまいます。薄くても要注意。
更に制御性が劣る旧車で考慮するとすれば過渡条件でしょうか。しかしこれも可能な範囲の燃料制御の問題です。
ですから、まずやることは様々な条件下での混合気の適正化と言い続けている理由です。
ただの燃費マニアなわけありません。
プラグに期待しなければいけないのは本質的にエンジンに問題があるとも見て取れますし、メーカーの寿命程度でプラグが劣化するのは火花発生電圧が通常より上がっている証拠です。
バナジウムプラグが何で出来上がったかなんかを知ったらだれも使わないでしょうね。
詳しく書くにはスペースが足りませんがこれらの理解の為に自分の車やバイクを使って色々実験をしてきています。
◎左右の気筒でプラグ仕様を定期的に変え、正常運転下での火花発生電圧変化を確認し新品と比較(ニッケル、プラチナ、バナジウム)
◎8万km走行品(E500)と新品の火花発生電圧の比較(ニッケル、バナジウム)
◎A-B-Aテストの実施
A-B-Aテストとは西洋の自動車エンジニアが通常使う言葉で上の様な各要素を必ず再確認して差異を見極めることです。
差異を感じても、感じなくても最低一度は元に戻して差異を再確認するということ。
彼らは人間の特性を理解しているので感覚的な差をできるだけ排除することを心がけています。
火花発生電圧は工房の四種の神器の一つの火花電圧測定器での確認結果です。
カンジニアリングが大嫌いなので高額ですが測定器を手に入れ正確に特性を把握しています。
こんなメーカーがやるようなことを簡易的に確認ています。
能書きをたれられるのを嫌う人がいますが、まあ我慢して人の経験を上手に取り込み勉強するですね。
そうしないと進歩はないし賢い消費者には程遠いもの。正しく取り込まないと意味もないけど。
ギャップの話
ずいぶん前に黒いGAPのジャンバーを買い重宝していますが、TXのフレームの黒塗装の時に大量に塗料をジャケットにかけてしまい、未だに取れませんが、同じ黒だからどうでもいいやと普通に着ています。
安くて素材もチープだけど冒険心に富んでいて好きなメーカーですね。って洋服の話じゃない。
最近何人かの方にバルブギャップの話を聞かれました。
本を見れば詳しく解説してあるのですが、なかなか先にそれらでお勉強する方は少ないようですので、超基本的な事を書いておけばよいですよね。ほんとはブログなのだけど。
簡単に言うとバルブギャップはエンジンがチンチンになっているときにほんの少し、0.1mmもあれば十分な物で基準値内であれば神経を使って常に合わせなければいけないような性質のものではありません。
エンジンが回転する状況でカムの本格的なリフトの前に設置されているランプ部と呼ばれる、なだらかに設定したリフトカーブの途中でロッカーアームをカムに低衝撃に接触させるためにバルブギャップの上限の値が設定され、下限はベースダイヤと呼ばれるリフトが無い領域でバルブが開かない様に双方充分なマージンを取って設定されています。
緑ちゃんの製作の時にグッチの設計人の意図は把握しました。
問題が起きることが多いケースはバルブシート摩耗でギャップが少なくなり負荷を上げた時に各部の熱膨張でバルブが開いてしまうことで、冷間時は問題なく高負荷運転後のアイドリングが安定しない時などはこれを疑う必要があります。
グッチの場合、運転中にタペット音が小さい時は動的なギャップが詰まっている可能性が高いので要注意です。
但しノーマルセットの場合にバルブシート摩耗の進行は非常に遅く、数万kmで0.1mmいけば多いほうですので頻繁な調整は不要です。(但しカムリフトを上げているときはかなり早く進行します)
シート以外の部分が摩耗するときはギャップが広がります。
話のネタとして、エンジンの材料の構成によって加熱後のバルブギャップの変化が起こりますが、これは単純に使っている材料と温度に線膨張係数を掛ければ出てきますから、カムを起点にプッシュロッド、ロッカーアームまでとバルブ軸端からヘッド、ボディ、カムまでの足し引きをすれば運転中の必要バルブギャップが算出できます。
そうはいっても正確に各部の温度を推定するのは難しいですけど。
ですからエンジンの構成や運転条件によって動的なバルブギャップの変化量は異なります。
スチールヘッドとアルミヘッドでは熱膨張の差が大きいのでエンジンによっては運転中ギャップが広がるものもあれば、狭まるものもあります。
もちろんこれらは上下限の基準値に入っています。
自分の過熱時のギャップ変化を知ることはエンジニヤリングへの道の第一歩ですかね。大袈裟か。
基本的にはバルブギャップが上下限の範囲内であればエンジンの基本性能を変化させることはありません。
“”だってギャップが大きくなればリフトが少なくなるから性能は下がるでしょっ“”て考える方がいると思うのですがあまりに短絡的です。
通常の走行性能に影響の大きな中速の中負荷時のギャップ上下限での同一燃料流量時の性能変化は全くありません。厳密にいうと性能測定には1~3%程度の誤差が許容されているので、完全にその範囲に入ってしまいます。
これはバルブの流路設計をするとわかるのですが、全流時の吸入空気の量に影響が大きいのはバルブ径が支配的でリフトの感度は低いからです。リフトが1%下がっても吸気量が1%下がることはありません。
もちろんレース領域のピストンスピードとなると空気の慣性質量の影響がありオーバーラップ増やしてでもリフトを稼ぐことは有効な手段ですが、あくまで特殊な超高回転限定の話ですし、それでも1%の差の判別はまず無理です。
気筒当たりの排気量が大きなエンジンではギャップの大きさによってアイドルのフィーリングが変化する事がありますが、これはオットーサイクルの特性で吸気を極限まで絞った条件で成立しているアイドリング状態にバルブギャップの変化が有れば起こるのは当然ですがアイドル領域だけの話です。
アクセル開けたとたん問題なくなりますので、回転が下がるようなときはアイドルスクリューで吸気の絞りを開放すればよいだけです。
でもギャップ調整やるとなんかやった感が感じられますよね。実質はどうあれ楽しんでいるんだからいいんだよ、夢を壊すなと、またそうちょに叱られる。
ボーッと生きてんじゃね~よ~。ポー!