唇から息をふっとを震わせてみる。と言っても、確かにそこまで浸かるような暖かさはあるが実際唇の下を当たるのは浴槽の蓋であって水面ではない。
今私は私のブログを書いている。ブログと言うのは変かもしれないが一主人公の様に見てもらいたい。
何故か一昨日ほどから刺繍をしようと考えており、遂に形となった。黒髪ロングで横顔がきれいなS字になるようにしよう、これは私が好きなカテゴリのものだ。けれどそんなもの説明しなければ伝わらないしましてや説明しても意味がわからない、と言う程にその要素が薄かった。でもそれが出来て初めて分かったことがある。周りの絵師は自分の作品を娘の様に大切に育ててゆく。自分の作品が一番可愛い、本当に可愛らしい。そう思ったらしい。それがついに分かる日が来たのだ。今までは意味がわからなかった。自分の作ったものに納得をしたことが無かったのだとそう気づいてしまった。どうして謙遜しないのだろうと考えていたが、できるはずがあるまい。本当に可愛らしいのだ。愛おしい狂うしいほどにそれを可愛らしいと思う。縫われたドライフラワーがいつか落ちてしまうだろう、そんなことは分かっている。あんなに瑞々しく開いていたのに縛り吊るされ干からびて今こうして縫い付けられている姿を見るとすべてを見ているようで自分がとてつもないメンヘラなのだと思う。花ほど美しいから見せびらかしてやりたいと思う。けれど物は使えば廃れてゆくものだから、そう考えている内に無意識にその刺繍に修正を入れていくと益々愛増した。本当に私はこの子の親なのだとそう感じた。それを部屋の壁に飾り眺めていても気になってしまうだけなのでそらしてやろうと服を脱いで冷房をつけて布団をかぶって小説を読んだ。
恋人の服に別の女の、しっかりした黒髪が付いていてそれを 温泉に行ってくる、という置き手紙に添えた。男は女が帰ってくるまでそれに気づかなかった。
そんな辺りを読んだ時か、ふと浮かんだのだ。黒髪の、この女性の髪で刺繍をしたい、黒く艷やかで愛す人の香りがする糸で縫われたものを送りつけてやりたい、何なら自分でやってくれとまで願った。今年の七夕だった。
そんなこんなで適当なことをぼやぼやと考えながら1日を過ごした。
例えばブルーベリーシロップが無くなりかけた大きな瓶いっぱいに水で割って長いストローを落として飲んだ。例えばアルコールランプをつくったりした。例えば前のアパートの若い女が薄着でごみ捨てに行くところをまじまじとこっそり眺めた。
例えばなくなりかけたトリートメントのポンプをとって手にトントンとしていた、
どことないやらしい音をしていた。浴槽の蓋の内側についていた水滴がお湯に落ちて水音を響かせて更にそんな気になった。全くトリートメントが出てこないから指を入れるけど本当に届かない。女のようにこいつに出したいという気があれば良いのにとか意味のわからない事を思ったりした。こいつの入り口か出口かを撫でて感じて出てきてくれれば楽なのに、なんて思った。
ここでこう考える自分が背の低い学生である事に一番笑っている。
こいつが女なら私は男か、女でもいいなと思った。男であってもう少し大きな円だったら突っ込んでいたかもしれないのでとても危なっかしく感じた。ちなみにこれを使用したことがあるやつはいるのだろうか、いるならどんな男かすごく気になった。そしてその男に酷く愛されてみたいなと思った。