江戸川乱歩の名作である『人間椅子』。誰もが題名くらいは聞いたことがある名作ですよね。話の中では人間がひとり中に入れる椅子が登場します。そんな人間椅子は本当に実現可能なのか、調べていこうと思います!
『人間椅子』の概要
『人間椅子』はプラトン社の大衆娯楽誌『苦楽』の1925年9月号に掲載された江戸川乱歩の短編小説です。本作が執筆された1925年は乱歩が専業作家として歩み始めた年であり、1月より『D坂の殺人事件』を皮切りに『新青年』誌上にて『心理試験』(2月号)、『赤い部屋』(4月号)などの初期代表作を発表していました。当時乱歩は英米の本格探偵小説を目指して執筆していましたが、『心理試験』の執筆時には既に種切れで行き詰っていました。そこで執筆したのが『人間椅子』であり、この作品がヒットしたのち、乱歩は本格探偵小説ではなくエログロナンセンス小説へと志向を変えていくことになります。エログロナンセンスとは、エロ(エロティック、煽情的)、グロ(グロテスク、怪奇的)、ナンセンス(馬鹿馬鹿しい)を組み合わせた言葉で、大正末期・昭和初期の低俗な風潮をさします。
あらすじ
外交官を夫に持つ閨秀作家(女性作家のこと)の佳子は、毎朝夫の登庁を見送った後、書斎に籠もり、ファンレターに目を通してから創作にとりかかることが日課だった。ある日、「私」から1通の手紙が届く。それは「私」の犯した罪悪の告白だった。
椅子専門の家具職人である「私」は、容貌が醜いため周囲の人間から蔑まれ、貧しいためにその悔しさを紛らわす術も持たなかった。しかし、私は職人としての腕はそれなりに評価されており、度々凝った椅子の注文が舞い込んだ。
ある日、外国人専門のホテルに納品される椅子を製作していた私は出来心から、椅子の中に人間が一人入り込める空洞を作り、水と食料と共にその中に入り込んだ。自分が椅子の中に入り込んだ時に、その椅子はホテルに納品されてしまう。それ以来、私は昼は椅子の中にこもり、夜になると椅子から這い出て、盗みを働くようになった。盗みで一財産出来たころ、私は外国人の少女が自分の上に座る感触を革ごしに感じることに喜びを感じた。それ以来、私は女性の感触を革ごしに感じることに夢中になった。やがて、私は言葉がわからない外国人ではなく日本人の女性の感触を感じたいと願うようになった。
私がそんな願いを持つようになったころ、ホテルの持ち主が変わり、私が潜んでいた椅子は古道具屋に売られてしまう。古道具屋で私の椅子を買い求めたのは日本人の官吏だった。だが書斎に置かれた私の椅子にもっぱら座るのは、著作にふける若く美しい夫人であった。私は念願の日本人女性の感触に胸を躍らせ、一方的な恋情を募らせていった。次第に自分の存在を夫人に伝えたいと思うようになった私は、とうとう椅子から出て夫人に手紙を書くことにした。その夫人とは佳子のことであった。
恐怖に襲われ書斎を離れた佳子のもとに、手紙と同じ筆跡のもうひとつの封書が届く。そこには先に送った創作を批評してもらいたいと書かれていた。(wikipediaより引用)
読んだ感想
気持ち悪い。まさかいつも座っていた椅子の中に人がいたなんて…でもその気持ち悪さから、結末はどうなるのか気になってしまい読み進める手が止まりませんでした。そして最後のオチ、フィクションかもノンフィクションなのかも私には判断がつかず、真実がわからないもどかしさと、本当に椅子のなかに人がいたとしたらという気味の悪さで読んだ後も気持ち悪さの余韻がしばらく残っていました。
次のブログで本題、人間椅子が再現可能なのかについて、書いていこうと思います。
人間椅子、青空文庫にてネット上で無料で公開されています。30分ほどで読めてしまうので、まだ読んだことのない方はぜひ読んでみてください。
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