真ん中誕生日の日に
恋人が贈ってくれた
薔薇の花が
枯れてしまった
だから
薔薇への供養と
プレゼントしてくれた恋人へのお返しのつもりで
触れる度に
ふるふる落ちた
花びら全部を集めて
湯を張った浴槽の上に散らした
その薔薇の湯船に浸かって
小説を読みながら
無意識に
「バラが咲いた」
を口笛吹いて
そういえば
子どもの頃
なぜか夕方
いつもと言ってもいいぐらいの頻度で
向かいの家から
この曲の口笛が聞こえてきたことを思い出し
同時に
その時の場面も
いくつか蘇ってきたんだけど
なぜか夏の夕方が多い気がするのは
たぶん
ばあちゃんが
ホースで表に水を撒いてたからだな
植木やコンクリートにばあちゃんが水を撒く時
私はよくばあちゃんの周りにいて
ホースから出る水のアーチの
下をくぐって遊んだ
好きな人できたことを
ばあちゃんに報告できたらいいのにと思う
会わせたいとすごく思う
最後に会った時も
「まだいい人できんの?」
「できんよ」
と
笑いながら話した
あの顔で
また笑ってくれそうな気がする
そんなことを思っていたら
恋人が帰ってきた
お風呂の中から
「おかえり」
と言うと
彼は
お風呂の扉を開けて
「ただいま!…あっ!」てなって
一緒に楽しんでくれた
恋人が
湯船の中に波を起こして
「花びらがあるぶんわかり易い」と
波の仕組みで遊んでいたので
私もじっとそれを見ていたら
花びらたちが
ハートを描いた
奇跡やぁ!
とふたりではしゃぎながら
ああ
やっぱり
会わせたかった
と
また思った

」