久しぶりの友達とライブに行く約束をして、家を出た。
少し遠い場所で、行き道に自信がなかったので
地図検索をしようと携帯を取り出した。
充電がない…あと12%…。
充電器もない、帰って充電する時間もない。
このままだと、帰りにはもう充電切れだ。
とりあえず、不安な気持ちを払拭したいのと、
少し遅れるかもしれないことを伝えたくて、友達に電話をかけてみる。
…出ない。
不安は膨らむ。
この辺りに携帯ショップはなかったか、と思いながら長い坂道を下る。
家の密集した細い道に入って、玄関から出てきた奥さんに尋ねる。
「この辺りに携帯ショップなかったでしたっけ」
「あぁ〜、この坂道のぼったところを左に曲がったところにありますよ」
優しい奥さん、ありがとう。
私、この坂道、今下りてきたとこです。
上手な笑顔でお礼を言って、再び坂をのぼる。
何という凡ミス。
上にあったとは。
やっとのぼりきった先を左へ、とても携帯ショップとは思えない小綺麗な白い家が見えてくる。
家の周りに背の高い木が植えられて、緑と白のコントラストに目が眩みそうになる。
やっと着いた、これで充電が出来る。
そう思いながら中へ入ろうとすると、扉の前に大きな、ぬいぐるみみたいにホワホワの、大きな虎がゴロゴロしていた。
え、トラ?
柔らかそうなホワホワのせいか、怖さはあまり感じない。
でも、足を踏み出すのを躊躇していると、頭の中がクルリと回転したような心持ちになって、私はいつの間にか、寝そべった虎になっていた。
目の前には、見知らぬ人が立往生していた。
自分はずっと虎だったように思えてきた。
あれ?何をしようとしていたんだっけ?
久しぶりの友達も、
ライブも、
携帯の充電も、
全部忘れてしまった。
ただ、虎になってゴロゴロとしていた。
と、いうような夢を見ました。
なんだったんだろう。??