インド全域に「高速インターネット」の衝撃、7兆円の経済効果をもたらす

 

インドにおいて、2019年3月までにすべての村落に高速ブロードバンドを提供する一大プロジェクト「バーラトネット」が推進されている。これによってブロードバンドユーザーが数億人単位で激増し、国民の生活水準が向上すると期待されている。13億の人口を有するIT大国インドが、その広大な国土にITを普及させる本気の取り組みとは、どのようなものであろうか。

 

 

<目次>
全インドに高速インターネットを引く「バーラトネット」
バーラトネットの進め方
インドのブロードバンドユーザーは数億人単位で急増か
バーラトネットは通信事業者のビジネスチャンス
バーラトネットで使われる製品は国産のみ

 

●全インドに高速インターネットを引く「バーラトネット」

 

モディ政権は、高速インターネット網をインドの隅々まで行き渡らせる巨大プロジェクト「バーラトネット」を推進している。 

 「バーラト」とはヒンディー語で「インド」という意味だ(「ジャパン」を日本語では「日本」と言うのに相当する)。プロジェクトは、ユニバーサル・サービス義務基金(USOF)の資金援助を受けて推進されている。 

 

 バーラトネットの前身といえるプロジェクトは、2011年10月に当時の政府が承認した国家光ファイバー網プロジェクトNOFNであったが、実際に敷設された光ファイバーは、30万kmの計画に対しわずか数百kmに過ぎなかった。モディ首相は、バーラトネットと名前を変えたうえで、この計画を大きく発展させた。プロジェクトのおかげで1億人月の雇用が生まれたと見込まれている。 

 すでに全長27万6000kmの光ファイバー回線がインド全土に張り巡らされた。インド政府はバーラトネットを強力に推進するため、2017-18年度予算において1,120億ルピー(約1,800億円)、総額で4,500億ルピー(約7280億円)を計上した。

 

この取り組みで、2019年3月までに高速ブロードバンドをすべての村落にまで張り巡らせ、最終的には100万kmを超える光ファイバー回線を新たに敷設するもくろみだ。デジタル通信事業者に対し回線敷設費用の75%が補助される。あらゆる階層が分け隔てなくネットインフラを利用できるようになることで、多方面での効果が期待されている。要請を受け、全世帯に最高2~20mbpsの通信速度の回線が利用できるようになるだろう。 

●バーラトネットの進め方
 プロジェクトは2つのフェーズで構成されている。フェーズ1は2017年12月に予定通り終了し、30万の小村落から成る10万の村で高速回線が利用可能となった。 

 ブロードバンドサービスはすでに4万8000の村で実際に使用され、7万5000の村では敷設済みである。現在は2019年3月までのフェーズ2の段階で、残りの32万5000の小村落から成る15万の村を対象としている。 

 プロジェクト終了後は、さらに2023年を目標として、広域地域間のファイバー回線を含む、リダンダンシー技術を伴ったリング型トポロジーを備えた最先端で将来性のあるネットワークの構築を目指す。