陪審による評決は、即、判決ではありません。
評決の後、刑期を決定して、裁判官が判決を言い渡します。
この物語では無罪の評決が出たので、その場で釈放を言い渡されますが、通常は、1週間ぐらい経ってから判決が言い渡されます。
ヌース判事が判決を言い渡す場面です。
Mr. Hailey, you have been tried by a jury of your peers and found not guilty.
I do not recall any expert testimony that you are now dangerous or in need of further psychiatric treatment.
You are a free man.
ミスター・ヘイリー、あなたは同胞諸氏よりなる陪審による審理を受け、無罪とされました。
本法廷での専門証人諸氏がおこなったいかなる証言にも、あなたが危険な状態であるか、あるいは今後とも精神科医による治療を必要としているという証言はなかったと記憶しています。
よって、ここにあなたを釈放といたします。
【補足】
◆判決前の量刑審査(Pre-sentencing Investigation)
まず、裁判所の保護監察官が被告人の家庭環境や人格を調査して、報告書を作成します。
それを担当裁判官または量刑委員会が検討しながら刑(Sentence)を決定します。
刑が決定するまでの間に、弁護側は情状酌量すべき情況(Mitigating Circumstance)を裁判長に提出して、刑を軽くしてもらうように働きかけます。
◆刑(Sentence)の種類
不定期刑(Indeterminate Sentence)
法定の刑期の上限を記し、それ以内の不定期間の刑を決定します。
定期刑(Definite Sentence)
特定の年限の刑を確定的に判決するものです。
分離判決(Split Sentence)
保護観察期間と服役期間を分離します。
例えば、1年間服役し、残りの期間を保護監察官の監督の下で社会生活を送ることを命じます。
間歇刑(Intermittent Sentence)
例えば、週末のみ刑務所で服役し、その他の日は自宅や職場で過ごすことを命じたりするものです。
保護観察(Probation)
刑務所での服役の代わりに、保護監察官の監督の下で社会生活を送ります。
条件付釈放(Conditional Discharge)
軽罪の場合んなど、一定期間、社会奉仕を義務付けて、服役を免除する判決です。
無条件釈放(Unconditional Discharge)
重大でない犯罪の場合など、刑を執行しないとする判決です。
罰金(Fine)
軽罪の場合など、罰金のみを課す場合があります。
被告人が得たる額の倍額、または三倍額の罰金を課します。
※拘禁刑の場合、刑の言い渡しの後、法廷からそのまま刑務所へ送られ服役することになります。
「評決のとき」に関する記事は今回で終わりです。
近々、また新たな題材を探し出して、新シリーズを始める予定です。